シンガポールの培養シーフード企業Umami BioworksとShiok Meatsが合併計画を発表

培養シーフードを手掛けるシンガポールのパイオニア企業Umami BioworksShiok Meatsが合併計画を発表しました。アジアで最も名の知られた両社の研究成果や生産技術を合わせて、規制認可プロセスを加速させ、培養シーフードの商用化を目指します。

Shiok Meatsの事業やチームを引き継ぎ


合併後の2社は「Umami Bioworks」の名のもと事業を続け、同社のCEOを務めたMihir Pershadが代表を継続。また、世界各地に拠点を持つ水産物業界の投資ファンドHatch BlueAqua-Sparkが取締役会に参加し、経営をサポートします。

Shiok MeatsのCEOを務めたSandhya Sriramは退社することが決定していますが、残りの従業員はUmami Bioworksのチームに加わる形となり、甲殻類の細胞株と培地の開発作業に従事します。

Sriramは、「代替プロテイン業界がシフトしていく中で、M&Aを行う適切なタイミングだと考えた」とコメント。合併した会社が「世界をリードする培養シーフードのプラットフォームになることを望んでいる」と語りました。

持続可能な養殖が困難な魚種の開発に注力


Umami Bioworksは2020年の創業以来、ニホンウナギのような大規模な養殖が難しい絶滅危惧種や、乱獲が問題となっている魚種を細胞から培養するプラットフォームの開発に取り組んできました。

これまで、細胞株の樹立、無血清培地の開発、機械学習と自動化を利用した生産システムの構築など、重要なマイルストーンを達成しています。

昨年には、イスラエルのSteakholder Foodsと協働して3Dプリントによる培養ハタの試作品を発表したほか、日本最大の水産会社であるマルハニチロと提携し、日本で培養シーフードを生産する拠点を開設。

今年に入って、マレーシア初の培養肉企業であるCell AgriTechとの提携により、アジア太平洋地域で最大となる培養肉工場を建設する計画を発表していました。

CEOのPershadによると、同社は持続可能な養殖が困難な魚種に焦点を当てているため、同じく一般的に養殖が難しいものが多い甲殻類を手掛けるShiok Meatsの取り組みとは「戦略的な整合性がある」とのこと。

今後は、市場参入の優先課題となる培養ウナギ、ハタ、ペットフードについて、戦略的パートナー企業と共同で製品開発を進める計画ですが、Shiok Meatsが焦点を当てていたエビ、カニ、ロブスターなどの甲殻類についても開発を継続します。

培養肉業界では統合が進む可能性


培養肉業界への資金提供は、2023年に入って鈍化。今後規制認可が下りる国が増えれば投資家の関心も再燃すると考えられるものの、業界全体のスケールアップにはより多くの資本が投下される必要があります。

英国のコーポレート・ファイナンス会社Oghma Partnersは、昨年10月に発表したレポートにおいて、培養肉セクターでも植物性代替肉セクターで見られたのと同様の淘汰が起こり、結果として企業同士の統合が加速する可能性が最も高いと予測していました。

より強い企業が競合他社の買収や合併を進める一方で、資金調達に難航し市場から撤退する企業も出てくるとみられています。

参考記事:
Cultivated meat consolidation begins as UMAMI Bioworks to merge with Shiok Meats
UMAMI Bioworks & Shiok Meats Merge to Commercialize Cultivated Seafood
Singaporean Cultivated Seafood Startups Umami Bioworks and Shiok Meats Announce Merger

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