Solar Foodsの空気由来タンパク質「Solein」、有名シェフとのコラボでNYの名店にデビュー

フィンランドのSolar Foodsガス発酵技術により生産するタンパク質原料「Solein」が、米国のレストランでデビューを飾りました。この原料が規制当局の認可を得て発売されるのは、シンガポールに続き2カ国目となります。

有名レストランでの限定提供が開始


「Solein」は、今年9月に米国食品医薬品局(FDA)が定めるGRAS(Generally Recognized as Safe:一般に安全と認められる)ステータスの自己認証を実施。これにより、初めて米国内での販売が可能となりました。

フィンランドに構える生産施設「Factory 01」もFDAへの登録が完了しており、米国での商業化に必要なその他の適用要件も満たしています。

この原料を使用した米国初の料理は、シェフのGreg Baxtromがニューヨークで経営する、数々の受賞歴のあるレストラン「Olmsted」とのパートナーシップで実現しました。牛乳やバター、卵黄の代わりにSoleinを採用した4品のコースメニューが開発され、今月19日から30日までの期間限定で提供されています。

Baxtromは、「Olmstedでは、価値観の核に持続可能性を据えてきた。コンポストの導入や、活用されていない部位を扱う業者との取引など、持続可能性のための取り組みは何であれ、レストランで行う仕事の重要な一部だ。食の未来を見据えているSolar Foodsとは同じ使命を持っている」と語っています。

グローバル規模の成長を見据え、大きな節目に


栄養が豊富で汎用性に優れる「Solein」は、味を損なうことなく、従来のタンパク質を置き換える形でさまざまな食品に使用できます。その生産に必要なのは、再生可能エネルギー、空気、水、そして少量のミネラルのみ。人類が直面する食料生産の問題に対する解決策になり得ると期待されています。

Solar Foodsは2023年にシンガポールでSoleinの商品化に成功して以来、フィンランドのFazerや日本の味の素などと提携して消費者向け製品を発売、テストマーケティングを行ってきました。

最初の生産施設となる年産160トンの「Factory 01」は、今年4月に稼働開始。8月には、長期の宇宙ミッションに耐える画期的な食品技術やシステムを対象とする、米航空宇宙局(NASA)の国際コンペ「Deep Space Food Challenge」でインターナショナル部門の優勝者に選ばれました。

9月にはNasdaq First North上場して、株式を公開。2箇所目の工場として年産8,000〜16,000トンという「Factory 02」の建設を見据え、より広く資金を集めて事業を世界規模に成長させる狙いです。

同社CCO(最高商業責任者)のJuan Manuel Benitez-Garciaは、美味しさ、栄養、使い勝手、そして持続可能性を兼ね備えたSoleinは、米国の消費者を魅了するだろうと予測。

Solar Foodsの歩みの中でも大きな節目となる米国進出について、「米国は世界でも有数のタンパク質消費市場であり、食文化も消費者層も非常に多様で、食生活や栄養のニーズに合った製品を求めている。シンガポールでのテストマーケティングが完了した今、米国でSoleinがどのように利用されるのかを見るのが待ち遠しい」と語っています。

参考記事:
Solar Foods launches Solein® in the United States – Solar Foods
Olmsted serves the first tastes of Solein® in the United States

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