菌糸体ベース代替肉の拡大を狙うQuornとPrime Rootsが提携を発表

菌糸体ベースの代替肉を手掛けるQuornが、麹菌の発酵により加工肉を作る米Prime Rootsに出資し、提携を行うと発表しました。

先日、シリーズBラウンドで3,000万ドル(約39億9,000万円)調達したPrime Rootsですが、その出資元の1社がQuornでした。この提携により、QuornはPrime Rootsの市場開拓を支援し、新商品の共同開発を行うとのこと。なお、具体的な出資額は公表されていません。

健康効果が証明されたマイコプロテイン


European Journal of Nutrition』誌に掲載された最近の研究結果では、腸内細菌(善玉菌)の繁殖について、Quornのマイコプロテイン(菌糸体の発酵により作られるタンパク質)がもたらす健康面での効果が示されています。

マイコプロテインを摂取した被験者グループでは、摂取しなかったグループと比べて、大腸がんのバイオマーカー(疾患の有無の指標となる体内の物質)が「統計学的に有意に」減少していました。

研究者は、「食生活の変化が、遺伝毒性の大幅な低下と、有益な腸内細菌の増加をもたらすことを示せた。腸の健康という観点から見て、マイコプロテインは長期的な腸がんリスクを低下させる可能性があり、従来の肉に代わるより良い選択肢といえるだろう」と説明しています。

2019年に発表された別の研究では、Quornのマイコプロテインが、乳製品を摂取したグループと比べて2倍以上の割合で、参加者の筋肉増強に寄与したとの結果も示されました。

両社に利益をもたらすパートナーシップ


今回の提携は、多くの類似点を持つ2つの企業を結び付け、両社に利益をもたらすものとみられます。

欧州最大の代替プロテイン企業を名乗るQuornは、独自の菌糸体を用いた代替肉を生産。1960年代に菌糸体を食品へと変える方法を初めて編み出し、1985年に英国市場に参入。現在はフィリピンのMonde Nissin傘下にあり、2002年には米国に進出しています。

しかしながら、代替プロテインの小売市場が厳しい状況にある中、Monde Nissinとしても、子会社のQuornを回復させる方法を探しているとみられます。同社の直近の決算報告では、代替肉の売上が前年同期比で6.2%減少。特に米国での落ち込みが激しく、収益が33.6%減少しました。

一方のPrime Rootsは、2017年創業。最初の製品である菌糸体ベースの加工肉は昨年、米・カリフォルニア州で小規模な小売りが開始されたばかりです。小規模な代替肉スタートアップの製品を全国展開するのには困難が付きまといますが、Quornはすでに小売店や流通業者とのつながりがあり、これを自社製品の拡大に活用する狙いです。

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