ドイツのThe Cultivated Bが産業用グレードのバイオリアクターを発表、細胞農業界のスケールアップを支援

ドイツのThe Cultivated B(以下、TCB)が、産業用グレードのバイオリアクター「AUXO V」の供給開始と、カナダ・オンタリオ州の工場での製造開始を発表しました。

バイオリアクターの納期・操作性を劇的に改良


この発表は、同社にとって重要なマイルストーンであるのみならず、生産能力を飛躍的に向上させるという細胞農業界の緊急のニーズに応えるものとなります。

バイオリアクターの納期は通常2年かかることも珍しくなく、細胞農業や精密発酵を手掛ける企業は、ラボスケールから商業生産へのスケールアップという課題に直面しています。

一方、TCBのバイオリアクター「AUXO V」の納期はわずか数週間。また、使いやすさを重視した斬新な装置設計により、オペレーターへのトレーニングや技術移転を迅速かつ簡単に行えることも特徴です。

独シーメンス製のHMI(ヒューマンマシンインターフェース)とPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を搭載し、従来は科学者にしか扱えなかったバイオリアクター制御システムの操作方法を、製造担当者がわずか数日で習得することが可能になりました。

同社CEOのHamid Nooriは、「米国で培養肉が認可を受けるなど、細胞農業界は急速な進化を見せているが、バイオリアクターの入手・操作が容易にならない限りブレークスルーは達成できない。当社は、操作の簡単なバイオリアクターを2〜4週間の納期で手に入るようにすることで、ゲームチェンジャーになれると考えている」と語っています。

持続可能性に配慮したユニークなバイオリアクター


バイオ医薬品や再生医療の分野では、生産性向上や汚染防止の観点からシングルユースが望まれ、バイオリアクターの接触面には使い捨て製品が使用されることが多くありますが、「AUXO V」は滅菌にも耐える高級ステンレス鋼で作られており、繰り返し使用が可能。

材料も最適化し、製造におけるCO₂排出量を最小限に抑える設計を実現しました。

ラボスケールから商業生産スケール(最大25,000リットル)まで幅広いサイズに対応し、動物細胞、細菌、酵母など異なる原料ごとに最適化されたインペラ(羽根車)と複数のセンサーを搭載。すべてのインペラには精度証明書が付属しており、バイオリアクターの最適な流体力学的特性を保証します。

TCBがカナダ・オンタリオ州に保有する工場は、3階建て13万平方フィート(約12,000平方メートル)の広さを誇り、200人体制で「AUXO V」の製造が行われるとのことです。

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