台湾が国営の代替肉スタートアップ立ち上げを発表、2050年ネットゼロ達成に向けた一歩

台湾の経済部(Ministry of Economic Affairs)が、新開発した食感改良技術を用いて植物性ホールカット肉を製造する国営のスタートアップ企業を、2023年末に立ち上げる計画を発表しました。

発表に際して、先月末に行われた展示会「BIO Asia-Taiwan 2023」で、植物性代替肉のサンプルが披露されています。

新開発の繊維構造で食感を改良


この食感改良技術は、同国の経済部技術処(Department of Industrial Technology)が新開発したもの。多方向の繊維構造を採用することで筋肉の密度を模倣し、添加物や人工的な成分を使用することなく肉の食感を再現しました。

さらに、必須アミノ酸をすべて含み、タンパク質含有量も高い大豆・小麦由来のタンパク質を使用して、完全栄養食品に仕上げているといいます。

この生産プロセスはすでに大規模生産を見込んだテストを行い、実行可能性を証明済みとのこと。台湾にとって、世界の植物性代替肉市場で勝負する上で、この技術は強みになるとみられます。

新会社の立ち上げ後は、同技術をさらに発展させ、製品の上市へとつなげる計画です。

「2050年ネットゼロ」の目標に向け、低炭素食への取り組みを強化


台湾経済部によると、世界の植物性代替肉市場は今後数年で大幅に拡大し、2025年には279億ドル(約3兆9,300億円)に達する見込み。

台湾で生産される植物性代替肉製品の約80%が輸出されているという事実は、台湾が世界市場で存在感を示すのに成功していることを表しています。

中でも、台湾を代表するメーカーのVegefarmは、国内で300種類を超えるベジタリアン・ヴィーガン製品を生産・供給しており、欧州や中東の市場にも輸出を行っています。

台湾ではこれまで、草の根運動により植物性食品をベースにした食生活が提唱され、一定の効果を上げてきました。

2022年末、台湾でミートフリーマンデー*1 を推進する団体が、同年に行われた統一地方選に出馬した100名を超える候補者を招き、菜食主義の活動を支援する旨の誓約書への署名を得たと発表

また、今年1月には、植物性食品を含む低炭素食(low-carbon diet)の推進を政府に義務付ける、画期的な気候変動法案が承認されました。同国の「2050年ネットゼロ」計画でも、推進戦略のピラミッドの頂点に低炭素食が据えられています。

*1 月曜日に肉の摂取を控え、週に一度の菜食習慣を提唱する活動。世界各国でそれぞれの団体が活動を展開している。

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