米国の外食産業における植物性代替肉の売上が過去最高を記録、小売売上は横ばい —GFIレポート

代替プロテイン業界のシンクタンクThe Good Food Institute(以下、GFI)が、米国における植物性代替肉の売り上げに関する最新レポートを発行しました。

重量ベースでは減少も、価格高騰で売上増


同レポートによると、2022年の米国内における小売り・外食・ECを合わせた植物性代替肉の売上高は、前年比2%増22億ドル(約3,244億円)。小売部門の売上高は14億ドル(約2,064億円)と横ばいだった一方、外食部門は過去最高となる7億3,000万ドル(約1,076億円)を記録しました。

ただし、インフレの影響を受け2019〜22年にかけて9%の値上げが見られたことにより、重量ベースでは前年比4%減少していました。従来の食肉では同期間に価格が26%上昇し、より影響を受けている様子がうかがえます。

外食部門の内訳を見ると、QSR(クイックサービスレストラン)が最も多く、2022年には重量ベース売上の39%を占めていました。FSR(フルサービスレストラン)は第2位(19%)。2022年はコロナ禍からの回復がまだ十分でなかったものと考えられ、2019年と比較して重量ベース売上はQSRで1%、FSRで5%減少しています。

第3位(16%)に入ったのが、教育機関。こちらは若年層の間での環境志向の高まりを受け、売り上げが増加しました。米国のフードサービス企業Aramarkは、250以上の大学の学生寮の食堂メニューのうち、44%を植物性食品にする計画を発表。Sodexoも、2025年までに大学キャンパスで提供するメニューのうち50%を植物性食品に置き換えるとしています。

外食産業は植物性食品企業が注目すべき業態に


人口統計を見ると、若年層(18~24歳)、男性、黒人、ヒスパニック、アジア系の消費者で、小売り・外食部門のいずれでも植物性代替肉を選ぶ傾向が強くなっています。

購入頻度に関しては、2022年、米国人の10%近くが外食部門で代替肉を選択しており、その大半(63%)は1度のみの購入でした。2度購入した人は15%、3度購入した人は7%に過ぎないものの、4度以上購入した人も15%おり、熱心な消費者ニーズの存在を反映しています。

植物性代替肉の消費者は、平均的な消費者と比べて年間30回以上多く外食に出かけ、使った金額も年間約400ドル(約59,000円)多かったとのこと。

GFIはまた、米Plant Based Foods Association(植物性食品協会)が今年7月に発表した別の調査結果にも触れ、過去10年間で外食企業の植物性メニューは62%増加し、現在では米国のレストランの半数近く(48.4%)が植物性メニューを提供していることを強調。

「より広範な植物性食品の利用可能性が高まってきたことで、外食事業者がメニューや業態を問わず植物性バージョンのメニューを提供しやすくなっている」と述べました。外食産業への進出は、植物性食品を手掛ける企業にとって注目すべきトピックとなっている様子です。

植物性代替肉の人気は上昇傾向


植物性プロテインの種類に関して、消費者の嗜好に変化が見られたことも注目に値します。

2019年には、豆腐、テンペ(大豆を発酵させたインドネシア発祥の健康食)、穀物、ナッツ、野菜などの伝統的な植物性プロテインが重量ベース売上の60%、代替肉(シーフードを含む)が39%を占めていました。しかし現在、そのシェアは逆転し、前者は46%、後者が53%となっています(残りの1%は「不明」)。

牛肉の代替品は依然として最も人気のあるカテゴリーで、市場の33%を占めています。次いで豆腐(28%)、穀物・ナッツ・野菜ベース製品(18%)、鶏肉(11%)、豚肉(8%)と続きました。製品形態別ではパティが43%を占め、売上を独占しています。

このことは、米国で植物性代替肉の人気が高まっており、消費者が従来の肉の味・食感により近い代替品を望んでいることを表しているといえるでしょう。

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