食品を中心にした初の国連気候サミットCOP28が12月に開催、代替プロテインなど持続可能な食も議題に

今年11月30日〜12月12日にアラブ首長国連邦(UAE)で開かれる国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)において、フードシステムへの注目が高まっています。

先月、同サミットで参加国に振る舞う料理を植物由来のヴィーガン食とすることが発表され、大きな話題に。加えて、サミット内では食料政策の発表や、前回に引き続いての「Food4Climate」パビリオンの設置が予定されています。

気候サミットで初めて「食」が議題に


フードシステムは、人類が地球規模で排出する温室効果ガスの3分の1を占めているといわれるなど、気候変動と農業の関係は今や否定できないものとなっています。

国連食糧農業機関(FAO)調査によると、畜産に由来するCO₂やメタンガスの温暖化影響は、実に14.5%。これは自動車や電車、飛行機などを合わせた運輸業からの排出量にも匹敵する量だといいます。

しかしながら、多くの証拠があるにもかかわらず、世界最高峰の気候サミットで「食」が大きく取り上げられたことは未だかつてありませんでした。2021年にグラスゴーで開催されたCOP26で、国連は肉類を使ったカーボンフットプリントの特に大きい料理に対して気候ラベルを導入しましたが、食料と畜産を議題に加えるまでには至らず。

昨年エジプトで開催されたCOP27では、フードシステムの変革にフォーカスした「Food4Climate」パビリオンが初めて設けられたものの、ここでも肉や乳製品の削減が議題に上ることはありませんでした。

気候危機に対する畜産業の影響をメディアが報道しないこと(気候に関する記事のうち、畜産業に言及しているのはわずか7%)や、食料・農業分野に特化した世界的な気候変動対策資金の不足も問題。

これらの背景には、COPに参加する多くの政府から莫大な額の補助金を受け取っている食肉・酪農業界が、集中的にロビー活動を行って政府やメディアに圧力をかけ、消費者の間に誤解をもたらしていることがあるとみられます。

パリ協定の目標に沿った具体的な施策の実現に期待


こうした状況の中、「食」が初めてサミットの議題に上がることは一つの進歩だといえるでしょう。COP28の舞台となるドバイでは、今年4月にSwitch FoodsがUAE初の植物性代替肉工場を開設。いくつかの外国企業も進出したことで小売り・外食での展開が進み、国内では植物性食品がブームになってきています。

COP28ではまた、気候変動への影響を緩和するための食料政策が多数発表される予定です。その中には、世界の気温上昇をパリ協定で定められた1.5℃に抑えるためのFAOのロードマップも含まれていますが、この目標はすでに達成が危ぶまれているのが現状。

今年『Nature Climate Change』誌に発表された研究では、現在の排出レベルでは2100年までに少なくとも0.7℃の気温上昇を招いてしまうと結論。これを抑えるためには、メタンガス排出の原因となる食品の消費量を減らす必要があると警鐘を鳴らしています。

主に畜産由来のメタンガスはCO₂の28倍もの温室効果があると試算されていることからも、従来の畜産に代わって代替プロテイン生産を優先することの重要性が強調され、具体的な施策が検討されることが望まれます。

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