米Meati Foodsが、菌糸体の食品への使用に関する米国特許を取得
菌糸体由来の代替肉を開発する米Meati Foodsが、独自原料「MushroomRoot」の特許を取得したと発表しました。
5年にわたる審査期間を経て特許を取得
Meati Foodsは2018年に特許申請を行った後、米国特許商標庁(USPTO)からの確認を先月受領。アカパンカビ(Neurospora crassa)を含んだ独自原料の使用に関して、2039年までの独占権を付与されました。
同社の「MushroomRoot」は多用途性が魅力で、ホールカットステーキ、ひき肉、シーフード、パウダーなど広範な製品への応用が可能な食品原料。完全タンパク質(PDCAAS*1 = 1.0)を含んでおり、栄養面で優れた製品です。
同社は昨年、同じ菌糸体ミートメーカーのThe Better Meat Coが自社の発酵技術に関する特許を取得した後、これを知的財産の侵害として訴訟を提起。これに対しThe Better Meat Coは、すでに知的財産を取得しており、Meati Foodsの訴えにより資金調達の努力が妨害されたと非難しました。
この紛争は現在も継続中であり、解決が見られない中での新たな特許取得となっています。
心臓血管の健康を増進する菌糸体原料
Meati Foodsはまた、今年7月に提携に至ったAI企業PIPAが開発したツール「LEAP」を用いて、同社の菌糸体原料の潜在的な健康効果に関する研究を完了したことを報告。
LEAPによってMushroomRootに含まれる14の主要化合物が特定され、その中に「蔓延する栄養不足」に対処し「心臓血管の健康」を増進する可能性を持った、食品中に「極めて稀な/存在しない」化合物が含まれていることが判明しました。
米国では心臓病が主要な死因となっており、米国人の5人に1人が心臓病で死亡していることを考えると、心臓血管の健康は極めて重要。Meati Foodsはさらなる研究を続けるとし、同定された前述の希少化合物については、詳細を明らかにしていません。
同社の共同創業者でCSOを務めるJustin Whiteleyは、「MushroomRootが栄養豊富であることは分かっていたが、消費者にその独自性を訴求するにあたってどのような効能を謳うことができるのか、正確には分かっていなかった。PIPAとの提携で得られた発見により、MushroomRootに含まれる化合物と健康効果との関連性を解き明かすことができ、将来の研究の方向性が示された」と語っています。
同社は先日、MushroomRootを使用した新製品を毎月顧客に届ける、定期購入サービス「Meati Marketplace」を開始。今後はAI主導のプロセスをさらに突き詰め、「当社の製品を定期的に摂取することでどのような健康効果が得られるかを明らかにし、発信していきたい」としています。
*1 PDCAAS(タンパク質消化性補正アミノ酸スコア):WHO(世界保健機関)の定めるタンパク質の評価基準。0.0〜1.0のスコアで表し、1.0が最も高い。
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