ベルギーの精密発酵企業Paleoがシンガポール拠点を開設、アジア太平洋地域で事業展開へ

ベルギーの精密発酵企業Paleoが、シンガポールに新たな事業所を開設し、将来的にアジア太平洋地域で事業を展開するための拠点とすることを発表しました。

代替肉原料としてのミオグロビンを発酵生産


2020年設立の同社は、植物由来の代替品に、従来の肉や魚の味・色・香りのほか鉄分を付加する原料として、筋肉に多く含まれるヘムタンパク質の一種であるミオグロビンに着目。遺伝子改変した酵母を用いる精密発酵の技術を活用して、動物由来のものと生物学的に同一のミオグロビンを生産しています。

これまでに牛・豚・鶏・羊・マグロに加え、知られている中では最古のものとされる100万年前のマンモスのDNA配列からも、ヘムタンパク質の復元に成功。

今年3月には、生産のスケールアップに向けてシリーズAラウンドで1,200万ユーロ(約19億4,000万円)を調達し、市販化の時期について2025年を目標としていました。

ミオグロビンをはじめとするヘムタンパク質は、肉らしい風味の創出に大きく寄与することが知られている成分。同社のほかにも、米Motif FoodWorksは精密発酵、IngredientWerksはトウモロコシを用いた分子農業により牛ミオグロビンの生産に成功しています。

まずシンガポールへの進出が不可欠


創業から3年目にして初となる海外進出にあたって、Paleoは代替プロテイン分野で先陣を切るシンガポールを選択。

PaleoのCEOを務めるHermes Sanctorumは、アジア太平洋農業食品イノベーション・サミットの開かれていた同地を訪問し、「成長のさなかにあるフードテック関連のスタートアップ企業としては、まずこの国に進出することが不可欠」と語りました。

「近い将来、アジア太平洋地域でもアニマルフリーのプロテイン原料の販売を目指す」と述べており、地元企業との提携を見据えたネットワーク構築に意欲を示しています。

シンガポールは、持続可能な未来の食料生産に対して積極的な投資を展開。精密発酵に関しても、投資家や同国政府からの注目度は高く認知が進んできており、市場が加熱している様子が認められます。

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