シンガポールのMeatiplyが、事業拡大と研究施設の設置に向けシードラウンドで約5.4億円を調達
シンガポールの培養肉企業Meatiplyが、シード資金調達の第一ラウンドを完了。ハイブリッド肉製品の生産拡大と、来年に予定している研究開発拠点の新設を目的に、375万ドル(約5億4,000万円)を調達したと発表しました。
2026年の製品発売を目指す
今回のラウンドは、既存投資家のWavemaker PartnersとAgFunderが共同でリードインベスターを務め、Enterprise Singaporeのベンチャーキャピタル部門であるSeeds Capitalが参加。
これにより、昨年初頭のプレシードラウンドと合わせた累計調達額は、475万ドル(約6億8,500万円)となりました。また、シード資金の第二ラウンドが2024年第1四半期に予定されています。
Meatiplyは、この資金により研究開発能力を強化し、パートナー企業との共同開発を拡大する計画。2026年の製品発売を目標としており、それに先立って、来年新しい研究施設が開設される予定です。
CEOのElwin Tanは、この新施設について「安全性試験の実施と製品開発をサポートするため、より多くの細胞量を得られる小規模生産設備を備えたものとなる」と説明。正確な生産能力は明らかにしていませんが、「現在の小規模なラボスケールの懸濁培養から、いずれは大型のバイオリアクターまで拡大できるだろう」としています。
健康面を強化し機能性食品市場にフォーカス
シンガポール国立大学で幹細胞生物学を学んだ3人の創業者により設立されたMeatiplyは、昨年10月に、植物由来の原料と培養細胞を組み合わせた3種類のハイブリッド肉(串焼きカンポンチキン・一口チキンカツ・燻製カモ胸肉)を発表。
いずれもミンチ肉とは異なり、筋肉・脂肪・皮など複数種類の細胞を用いて構造化されているため、より幅広い製品に使用できるといいます。しかし同社によると、これらはあくまで試作品であり、初の製品はまた別のものになる予定とのこと。
同社はまた、動物性食品にのみ豊富に含まれる、栄養豊富な天然化合物に注目。独自の科学的アプローチによりこれを生成し、その健康上のメリットを活用することで、機能性食品市場に焦点を当てる計画です。
目下、2025年末までにシンガポールの規制当局への申請を実施することを目指し開発を続けていますが、CEOのTanによると、「韓国・日本・中国の規制動向についても注視し、市場参入の可能性を探っている」とのことです。
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