イスラエルのSteakholder Foodsが、3Dプリントにより製造した植物性ウナギを発表

イスラエルのフードテック企業Steakholder Foodsが、植物由来原料を3Dプリントすることにより製造した代替ウナギを発表しました。

天然ウナギが抱える持続可能性の課題を解決するべく、商品化に向けて協働するパートナー企業を探しています。

将来的には培養ウナギの3Dプリントも視野に


Steakholder Foodsによると、独自の3Dプリンティング技術によって精密な層を重ねることで、「ウナギの持つ複雑な食感」を再現でき、一般的な植物由来の代替品に比べて原材料も大幅に少なく済むといいます。

同社CEOを務めるArik Kaufmanは、「シーフード業界において極めて重要な瞬間であり、シーフード製品の印刷に適した当社のDropJet技術の大きな可能性を示すものだ」とコメント。

また、このプリンターはほかのシーフード製品も印刷できるため、「同じ生産ラインを使ってさまざまな製品のプリントが行える」とも述べています。

同社は今年5月に、培養肉開発と並ぶ新たなビジネスモデルとして、3DプリンターとインクのB2B供給を開始すると発表。新製品の商品化に向けて、プリンターおよびインクの供給先となるパートナー企業を探しています。

DropJet技術により、従来のウナギに匹敵する価格で代替品の大量生産ができるようになるとのこと。現在は100%植物由来の原料を用いていますが、将来的にスケールメリットにより安価な細胞開発が可能になり次第、培養ウナギの細胞を含んだバイオインクを発売する予定です。

持続可能性の問題に直面するウナギ漁


世界のウナギ市場は、昨年43億ドル(約6,040億円)を記録し、2029年まで年平均2.19%での成長が予測されるものの、その供給は天然ウナギが主流。

世界のウナギ消費の大部分を占めている日本では、密漁も含めた乱獲により絶滅の危険性すら指摘されるなど、重大な課題に直面しています。

ウナギの複雑な生態に起因する養殖の難しさがこの状況をさらに悪化させており、海洋の持続可能性を保つためにも、市場で受け入れられる代替品の開発が喫緊の課題です。

代替シーフード分野での取り組みを強化させているSteakholder Foodsは、今年日本に進出したシンガポール企業のUmami Bioworksとも提携を実施。Umami Bioworksが開発を進める魚種の中にはウナギも含まれていることから、両社の協業により、上述したような問題の解決に期待が持てます。

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