米Next Level BurgerがVeggie Grillを買収、北米最大のヴィーガンファストフードチェーンに
米国のファストフードチェーンNext Level Burgerが、同業のVeggie Grillの買収を発表。米国の植物性食品業界では過去最大級のM&Aとなりました。
ヴィーガン以外の層にも広くアプローチ
Next Level Burgerは、昨年倒産寸前だったVeggie Grillを救った投資ファンドのVegInvestから、同社を買収。VegInvestは、株主兼パートナーとしてNext Level Burgerに加わります。
この買収によりNext Level Burgerは、既存の10店舗にVeggie Grillの17店舗を加えた計27店舗でヴィーガン食を専門に扱う、北米最大のファストフードチェーンとなりました。
同社は、人間の健康、生態系の持続可能性、倫理的なサプライチェーンを調和させることを使命とし、de Gruyter夫妻が2014年に立ち上げたレストランチェーン。
立ち上げから10年で米国全土の8都市に展開し、そのうち6店舗はWhole Foods Marketの店内に出店しています。
同社が昨年339人を対象に実施した調査によると、100%植物由来のブランドにもかかわらず、同社の顧客の半数以上(52.8%)がヴィーガンではなかったとのこと。
また、回答者の5人に1人が、同社で食事をしなければ、別の飲食店や家庭で肉料理を食べていただろうと答えていました。
このことは、ヴィーガン以外の消費者にも広く人気を博し、多様な層にアピールできていることを示しています。動物性食品を植物性食品に置き換えるための同社の取り組みが、有効に機能しているといえるでしょう。
新型コロナ後に売り上げが低迷
2006年創業のVeggie Grillは、米国の外食市場における植物性食品カテゴリーをリードする存在でした。Yo Egg、Beyond Meat、TiNDLE Foodsなど、革新的な植物性食品を生み出してきたブランドとの提携でも知られています。
しかし、植物性食品の市場全体と同様に、大きな逆境に直面するように。現在の店舗数は17ですが、ほんの数カ月前までは29店舗を展開。パンデミック後にオフィスワーカーの足が遠のいたことで売り上げが落ち、店舗数の削減を余儀なくされていました。
2021年には、消費者需要が高まっているとしてStand-Up Burgersという第2のブランドを立ち上げていましたが、これも流れを変えるには至らず、逆に体力を削ぎ落とす結果となりました。
同社の共同創業者でCEOを務めたT.K. Pillanは、今回の買収を機に退社し、de Gruyterが後を引き継いでいます。
業界全体の苦境を乗り越えられるか
Veggie Grillの苦境は、Beyond Meatのような大手ブランドが継続的な赤字に直面し、操業停止に陥る企業も出ている植物性食品業界全体の状況を反映したものです。
The Good Food Instituteのレポートによると、米国では2022年の植物性代替肉の外食売上が過去最高を記録しましたが、これは値上げの影響を受けたものであり、重量ベースではパンデミック前の水準にまで回復していません。
そのような状況下ですが、Next Level Burgerのde Gruyterは楽観的な見方を継続。「植物性食品業界の飛躍的な成長は必然だと固く信じている。持続可能性を保つために植物性食品へのシフトが必要であることは、科学的にも明らかだ」と語っています。
参考記事:
Next Level Burger Acquires Veggie Grill to Become North America’s Largest Fast-Casual Vegan Chain
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