分子農業を手掛けるニュージーランドのMirukuが、プレシリーズAラウンドで約7.5億円を調達
分子農業により乳タンパク質と乳脂肪を開発するニュージーランドのMirukuが、プレシリーズAラウンドで800万ニュージーランド・ドル(約7億4,500万円)の調達を行ったと発表しました。
効率性に優れた生産システムを追求
同ラウンドはMotion Capitalがリードインベスターを務め、以前からのシード投資家であるMovacに加え、NZVCなどが新しく参加。応募超過となった2022年のシードラウンドと合わせて、Mirukuの累計調達額は740万ドル(約11億1,300万円)に達しました。
新たな資金を得て、同社はオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)などとの提携により初期栽培の試験を実施。食品業界のパートナーと製品の共同開発を行い、米国やカナダを含む主要市場にも進出する計画です。
Mirukuのアプローチは、世界の乳タンパク質需要を満たす効率的なソリューションを提供すると同時に、環境負荷を低減し、生物多様性保全、気候変動対策、持続可能な農業への世界的な取り組みに貢献するもの。
現在の代替プロテイン開発では、精密発酵で微生物にタンパク質を生産させる手法が主流となっていますが、同社は分子農業はスケールアップが容易であり、既存の農法に組み込むこともできるため、効率性の面で優れていると主張しています。
乳製品と同じ分子を生産するよう植物をプログラミング
Mirukuは2020年、アジア太平洋地域で唯一の分子農業スタートアップとして創業。酪農家出身のAmos Palfreyman(CEO)、Ira Bing、Harjinder Singhに加え、イスラエルで分子農業を手掛けるBiobetterの共同創業者でもあるOded Shoseyov(CSO)が設立に携わっています。
分子農業では、特定の植物に遺伝子組み換えを施して、動物由来のタンパク質、脂肪、糖などの分子を生産できる「ミニ工場」とし、生産された物質を葉やその他の組織から収穫します。
この植物には大豆やオオムギ、ジャガイモなどさまざまな種が使用されますが、Mirukuでは気候変動に耐性のあるベニバナを活用。干ばつに強く、半乾燥条件下でも残留水分で栽培が可能だといいます。
また、分子農業を手掛けるほかの企業と異なり、同じ植物体内でタンパク質と脂肪の両方を生産していることが特徴です。
同社はすでに、初めに上市を予定しているオーストラリアとイスラエルに拠点を拡大。当面はB2Bでの供給にフォーカスしていますが、最終的にはヨーグルトやチーズなど幅広い代替乳製品の製造を目指しているとも明かしています。
参考記事:
Miruku grabs more capital as its plant-based dairy tech reaches proof of concept | TechCrunch
Miruku: New Zealand Startup Raises $5M in Pre-Series A to Create Dairy Products with Molecular Farming
Miruku Secures $5M to Develop Proteins in Oilseed Crops for Dairy 2.0 Products
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