菌糸体ミートを手掛ける独Kynda、3万リットルの発酵能力を備えた生産施設を着工

ドイツのフードテック企業Kyndaが、ハンブルク近郊にマイコプロテイン製品「Kynda Meat」を製造する大規模施設の建設を開始したと発表しました。

わずか48時間で発酵を完結


菌糸体(EUの新規食品規制の対象外の菌株を使用)と食品産業から出る副産物のバイオマス発酵によりマイコプロテインを製造するKyndaは、業界標準で7~10日かかる菌株の増殖をわずか48時間で行えるという、高効率の技術が強み。

例えば、1万リットルのバイオリアクターが1台あれば、2日間でニワトリ380羽分の肉を生産することが可能です。

これまで、元は豚舎だった建物を研究拠点としていましたが手狭になり、商業生産に向けた拡張を決断しました。

新しい生産施設は、6,200平方メートルの敷地に720平方メートルの建屋を2棟構え、独自開発のバイオリアクターを用いて年間2,500トンの「Kynda Meat」を製造する計画。

同社の革新的な発酵システムは、スターターカルチャーから菌糸体原料の収穫までの生産工程全体を網羅し、効率的でユーザーフレンドリーであることから「プラグ・アンド・プレイ」バイオリアクターと謳われています。

Kynda Meatのタンパク質含有量は37%(乾燥時)で、9種類の必須アミノ酸、高品質の食物繊維、ビタミンをすべて含んでいる上、アレルゲンフリーで低脂肪。

同社は、従来の食肉や植物由来の代替品と比較して、栄養価と味の面で優れていることを強調しています。

広がるアップサイクル原料の活用


KyndaはドイツでのKynda Meatのデビューにあたり、植物由来の豚肉を生産するThe Raging Pig Company提携。ハンブルクで3月に開催された見本市「Internorga」で、マイコプロテインのパティを使用したヴィーガンバーガーを披露しました。

今年中に外食産業に進出する計画を発表しており、欧州以外にアジアや北米の企業ともパートナーシップ確立に向けた話し合いを進めています。

ドイツでバイオマス発酵を手掛けるその他の企業としては、Infinite RootsMicroHarvestPacifico BiolabsProteinDistilleryBosque Foodsなどがありますが、いずれの企業もKyndaと同様に、醸造で出た穀物粕などの副産物を活用。

年間1兆ドルもの経済的損失をもたらし、世界の排出量の8〜10%に寄与している食品廃棄物の問題に取り組むことで、より持続可能な手法を模索する動きが強まっています。

参考記事:
Kynda Breaks Ground on Hamburg Facility to Produce 2,500 Tons of “Kynda Meat” Annually
Kynda is Building A Large-Scale Mycelium Facility to Turn Food Waste into Meat in 48 Hours

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