シンガポールの細胞農業企業Cellivate Technologies、TV番組の企画を通じて約5億円を獲得

シンガポールを拠点に培養肉、培養レザー、アニマルフリー化粧品のための細胞ベースのソリューションを開発するCellivate Technologiesが、シンガポール国営放送Channel NewsAsia(CNA)のビジネス・リアリティショー『The Big Spark』で優勝しました。

全24チームの中から優勝を果たす


The Big Spark』では、エントリーした全24チームのうち、2度の選考ラウンドを経て5チームが決勝に進出。最終的に3チームが、投資家からの資金提供を勝ち取りました。

Cellivate Technologiesの創業者でCEOを務めるViknish Krishnan-Kuttyは、植物由来および細胞由来のソリューションによる倫理的な食肉消費というトピックを強調したプレゼンテーションを実施。

Rigel-Farro Capitalから330万シンガポール・ドル(約3億9,100万円)と最大のシード資金を獲得して、優勝を果たしました。

CNAによると、同社はさらに、Antlerなど国内のベンチャーキャピタル4社からの投資を含め、総額415万シンガポール・ドル(約4億9,200万円)の資金を手にする可能性があるといいます。

Krishnan-Kuttyは、細胞を培養してアニマルフリーの製品を作ることで動物の屠殺を減らすべく、シンガポール国立大学からスピンオフする形で、2019年にCellivate Technologiesを設立。

当初は培養肉企業向けの無血清培地マイクロキャリアの開発に注力していましたが、南アフリカ人デザイナーのAdrian Fürstenburgと共同で設立したスタートアップ企業ProjectExを通じて、スキンケアなどの化粧品や培養レザーへと事業範囲を拡大させていきました。

資金調達が課題の細胞農業界


生産コストの高さ、スケールアップの問題、懐疑的な消費者の存在が、培養肉業界にとっては依然として大きなハードルとなっており、2021〜22年にかけて盛り上がりを見せた投資家の関心は、その後低下。

これに伴い、シンガポール発のパイオニア企業として培養シーフードの開発を進めてきたShiok Meatsは、今年3月にUmami Bioworksとの合併を決断。米国のSCiFi Foodsは、資金調達における障害に直面して事業停止に至りました。

業界の専門家の間では、今後より多くの事業が立ち行かなくなり、主要プレーヤー間の統合を含めて淘汰が進むと予想されています。

Krishnan-KuttyがCNAに語ったところによると、同社も「昨年は資金調達に難航し、自分たちのやっていることを諦めかけていた」といいます。

当初、番組への参加で目標としていたのはわずか35万シンガポール・ドル(約4,200万円)の調達でしたが、最終的に10倍以上の資金を獲得することに成功。

「The Big Sparkでの受賞は、私たちが正しい道を歩んでいることを示してくれた。獲得した資金で研究を継続させ、次のレベルに引き上げたい」とコメントしています。

参考記事:
Cellivate Technologies raises eyebrows as it secures hefty funding in the final round of The Big Spark – CNA
Cellivate Technologies Wins $3.3M on Business Reality TV Show to Reduce Animal Slaughter Using Cells
ProjectEx Opens $1M Pre-Seed Round to Revolutionize Luxury Market With Cultivated Exotic Leather

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