Umami Bioworks、培養シーフードの開発促進と商業生産に向けインドでのパートナーシップを拡大
培養シーフード開発を手掛けるシンガポールのUmami Bioworksが、研究開発の促進と商業生産に向け、南インドの研究機関との提携を行ったと発表しました。
世界中の顧客への生産システム提供を目指す
Shiok Meatsとの合併に続き培養シーフードのスケールアップを進めているUmami Bioworksは、インド南部・ベンガルールのIKP Knowledge Parkに新設された代替プロテインセンター「Centre for Smart Protein and Sustainable Material Innovation」との提携を実施。
さらに、チェンナイにあるサティヤバマ科学技術研究所と協力し、同施設内に研究開発拠点を設置する予定です。
インドでの展開は、バイオものづくりの分野で豊富な経験を持つ人材の存在と、シンガポールとの地理的な近さが動機となった様子。
インドに置いた拠点では、プラグ・アンド・プレイ生産設備のエンジニアリングと検証を主導し、実証スケールから顧客企業の環境への技術移転をサポートします。
このパートナーシップは、当初は1年間を予定しており、その後延長・拡大する可能性もあるとのこと。最終的には在インドチームの主導により、世界中の顧客への生産システム提供を目指します。
安全・安心かつ公正な食の未来に貢献
「Centre for Smart Protein and Sustainable Material Innovation」は、インド全土で1,500社以上の企業やイノベーターを支援するIKP Knowledge Parkと、代替プロテイン界のシンクタンクThe Good Food Instituteのインド支部GFI Indiaとの間で締結された覚書に基づき、今年5月に設立されました。
最新鋭の設備へのアクセスや、技術、知財、規制、マーケティング、事業戦略領域に関する専門家の指導を通じて、新興企業のインキュベーションと製品開発を支援することを目的としています。
GFI IndiaのAiyanna Belliappaは、「この画期的なパートナーシップは、インドの急成長するバイオテクノロジー産業とスマートプロテイン関連のエコシステムが、いかにグローバルプレーヤーを惹きつけているかを示す好例だ。これが国内でさらなるイノベーションと投資への道を開き、ひいては安全、安心で公正な食の未来に貢献することを確信している」と語っています。
魚類、甲殻類の細胞株樹立へ共同研究
サティヤバマ科学技術研究所の研究チームはつい先日、ミルクフィッシュ(サバヒー)、ハタ、タイ、ティラピアの細胞を使った培養シーフードのプロトタイプ開発を発表。
国立魚類遺伝資源局(National Bureau of Fish Genetic Resources)から、これらの培養物中に組み換えDNAが含まれないことを示す認証も取得しました。
今後は、生物多様性当局(NBA)、環境省、インド食品安全基準局(FSSAI)からの許認可を得て、Umami Bioworksと共同で新たな魚類、甲殻類などから細胞株を樹立するための研究を行う予定です。
インドにおける新規食品の規制を担当するFSSAIは4月、政府のバイオテクノロジー庁およびバイオテクノロジー産業研究支援協議会と協力して、枠組みを構築する意向を確認。培養肉・シーフードなどの細胞性食品に係る規制枠組みの制定に向け、取り組みを進めています。
参考記事:
Umami Bioworks Looks to India to Scale Up Cultivated Seafood
Umami Bioworks and IKP partner to accelerate research in cultivated seafood – FFOODS Spectrum
Lab fish on frying pan: TN researchers develop cultivated meat of four varieties
India Working on Regulatory Framework for Cultivated Meat & Seafood: Report
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