オーストリアが食生活ガイドラインを改定、植物性タンパク質を推奨し、肉や乳製品の摂取を控えるよう求める内容に
オーストリアが食生活ガイドラインの改定を実施。新たなガイドラインは、動物性タンパク質を減らし、植物性タンパク質を多く摂取するよう推奨する内容となっています。
これによりオーストリアは、健康的で持続可能な食料システムのために動物性食品からの転換を支持する国の一つに加わりました。
プレートモデルで理想の食事構成を示す
新たなガイドラインがベースとする最適な食事構成を表した「プレートモデル」では、果物と野菜を50%、全粒穀物とジャガイモを25%、さらにタンパク質(主に植物性)を25%摂取することを推奨。一方で、肉、魚、乳製品の割合は減らすべきとされています。
食事の半分は、必須ビタミン、ミネラル、食物繊維を供給する多種多様な果物や野菜で構成されるべきであり、地元で生産された旬の食材であれば排出量も少なく済むとのこと。
4分の1は、複合炭水化物、食物繊維、その他の重要な栄養素を豊富に含むパン、パスタ、米などの全粒穀物とジャガイモで構成。
そして残りの4分の1は、豆類、ナッツ類、種子類などの植物性タンパク質を中心とした副菜からなります。
肉類はコレステロール、飽和脂肪酸、塩分を多く含み、資源を大量に消費するため、摂取はほどほどに抑えるよう推奨。バターのような動物性脂肪も少量にとどめ、菜種油、オリーブ油、クルミ油などの植物性脂肪を使うよう勧めています。
新版のガイドラインでは、一週間の肉と魚の推奨摂取量をそれぞれ226gと200gに設定していますが、これは肉を301g以下、魚を196g以下の摂取量とするよう提案しているEAT-Lancetの「Planetary Health Diet」と概ね一致しています。
環境影響の考慮が必須に
このガイドラインは、同国の保健省がオーストリア保健・食品安全局(AGES)およびオーストリア栄養学会(ÖGE)と共同で、環境と健康の両面を考慮して作成。
旧版は食品ピラミッドの形で表され、栄養摂取に関するエビデンスに基づく推奨事項と、食事に関連する疾病の予防に関する知見を考慮したものでした。
しかしながら、食品システムが気候変動を進める要因となっている現状などから、環境と健康に関するパラメータを含めることが求められるようになったといいます。
オーストリアのガイドライン改定は、今年3月にドイツが行った同様の施策を反映したものでした。ドイツ栄養学会(DGE)は、菜食主義に関する公式の見解を変更し、これを「健康増進食」と呼称。新たな食生活ガイドラインで、少なくとも75%を植物性食品にすべきとしています。
また、それ以前にもカナダや北欧諸国では、植物性食品に焦点を当てたガイドラインの改定が行われてきました。
オーストリアのJohannes Rauch社会問題担当大臣は、「地域の特産品を意識的に選び、動物性食品の消費を減らすことで、誰もが気候変動対策に貢献できる。もちろん味を疎かにするわけではなく、健康的で、環境に優しく、栄養のある美味しい食事は、決して矛盾するものではない」とコメントしています。
参考記事:
Austria Promotes Plant Proteins & Asks People to Cut Back on Meat & Dairy in New Dietary Guidelines
Eat At Least 75% Plant-Based Foods, Say Germany’s New Dietary Guidelines
Germany releases new nutrition guidelines
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