植物ベースの3Dプリント足場を開発するスイスのSalleaが、プレシードラウンドで約4億円を調達

スイス・チューリッヒを拠点とするSalleaが、プレシードラウンドで260万ドル(約3億9,300万円)の調達を行ったと発表しました。

ホールカット肉を生産する上での制約を克服


このラウンドは、プレシード期のスタートアップ企業への出資に特化したスイスの大手ベンチャーキャピタルFounderfulが主導し、持続可能な食料システムの構築に焦点を当てるKost Capitalが参加。Salleaは以前にも、研究助成金などを通じて180万ドル(約2億7,200万円)を調達しています。

Salleaは、Nicole Kleger(CTO)、Simona Fehlmann(CEO)、Anna Bünter(CCO)からなる女性のみのチームにより2023年11月に設立されました。

チューリッヒ工科大学(ETH Zurich)の研究から生まれた独自技術を基に、細胞農業界向けに植物ベースの可食性足場を開発。技術革新により培養肉の食感と栄養プロファイルを改善しながら現在の制約を克服し、ステーキやフィレのようなホールカット肉製品の導入を加速させる狙いです。

今回の調達により生産能力を増強させ、培養肉の開発を手掛ける他企業とのパイロットプロジェクト実施を計画しています。

サイズから栄養特性までのカスタマイズを可能に


CCO(最高商務責任者)のBünterが『Cultivated X』に語ったところによると、Salleaは足場の型を3Dプリントする際に塩を使用。プリントした塩の型(左写真)に材料を浸透させた後、型を水に溶かして取り除く仕組みです。

足場は、特定の栄養プロファイルを実現するため、さまざまなタンパク質やその組み合わせから作ることができるほか、同社ではセルロースやアルギン酸ベースの溶液を使った足場も開発しています。

サイズや形状だけでなく、栄養特性までも顧客のニーズに合わせて、「現在の業界標準をはるかに超える詳細なレベルで」調整ができるとのこと。顧客が採用している生産工程にシームレスに統合でき、追加の設備投資や手法の変更が不要なプラグ・アンド・プレイのソリューションとなります。

細胞農業界が、これまでの垂直統合されたバリューチェーンから、培地や足場といった構成要素を外部から調達するエコシステムへと移行するにつれ、培養肉企業はとりわけ足場の重要性に対する認識を強め、この特殊なソリューションを提供できる企業との提携を積極的に模索するようになりました。

FounderfulのAntonia Albertは、「Salleaは2030年までに3,700億ドル(約55兆9,000億円)を超えると予測される培養肉市場の可能性を解き放ち、持続可能で倫理的な未来への道を開くだろう」とコメントしています。

参考記事:
Women-Led Startup Sallea Secures $2.6M to Advance Plant-Based Scaffolds for Cultivated Meat Whole Cuts
Turning Lab-Grown Meat Into A Multi-Billion Dollar Market With Sallea

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