植物ベースのマイクロゲルで代替油脂を生産する英MicroLubが約7億円を調達
油脂の代替となる植物由来のマイクロゲルを開発する英国のバイオテクノロジー企業MicroLubが、350万ポンド(約6億9,700万円)の資金調達を完了したと発表しました。
水ベースの技術で脂肪を置き換え
リーズ大学の研究室からスピンアウトしたMicroLubは、環境影響から公衆衛生に至るまで、油脂業界の多くの問題に対処するソリューション開発を行っています。
油脂はなめらかでクリーミーな口当たりを加えることで食品をより美味しく仕上げる一方、食品中のカロリーも増加させてしまいます。
この課題を克服するため同社は、ホモジナイザーを使って微粒子状に砕かれたタンパク質と水のゲルを形成しました。このマイクロゲルは噛み砕くと水分を放出し、脂肪に似たクリーミーな口当たりを作り出します。
これにより、食品中の脂肪分を最大で75%削減することが可能に。MicroLubが行った試験では、ソフトチーズの脂肪分を半分に減らしても(カロリーは35%減)、試食で従来のチーズとの違いを見分けることができた人はいなかったといいます。
同社はすでに、脂肪の代替、食感向上、栄養供給技術に関する3つの特許を取得しており、今回の資金をもとにパートナー企業との共同開発やチームの増員などを行い、商品化を目指します。
飽和脂肪酸を減らし、成分リストも短く
CEOのDavid Petersは自社技術について、「多糖ハイドロゲルでコーティングされたタンパク質マイクロゲルを使用して、食品になめらかさを付加する」と説明。
タンパク質(エンドウ豆、大豆、オーツ麦、ソラマメ、乳タンパク質など)、多糖類ともに、さまざまな種類のものを使うことが可能で、例えばハンバーガーパティと低脂肪ヨーグルトでは、理想のタンパク質と多糖類の組み合わせや比率は異なるといいます。
Petersは、低脂肪食品や植物性食品が、「食感や口当たり、渋みといった問題から、潜在的な販売力を十分に発揮できずにいる」と指摘。マイクロゲルはこうした製品の改良に特に効果的だといい、飽和脂肪酸を減らしながら、増粘剤や乳化剤の使用をなくすことで成分リストを短縮し、クリーンラベルの製品づくりにも寄与します。
さらに、既存の原料を用いていることから新規食品の規制にも縛られず、精密発酵などの代替油脂に比べて早期の市場参入が可能です。
同社は商用化の第一段階として、代替油脂を用いた製品の開発に向け、パートナー企業との提携を模索。その後、技術をスケールアップしてパートナー企業の製造工程に組み込み、最終的にはライセンス供与による製品化支援を行うことを目指しています。
参考記事:
Investment boost for food spinout | University of Leeds
MicroLub closes £3.5m investment round to commercialise fat replacement tech | FoodBev Media
MicroLub, A Startup Replacing Fat With Water, Beefs Up Budget with $4.5M Round
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