微生物タンパク質を生産するMicroHarvestが、日産10トンへの規模拡大に成功

効率性の高い微生物タンパク質生産技術を有するドイツのバイオテクノロジー企業MicroHarvestが、大規模生産の試験を成功させ、新たな規模拡大のマイルストーンに達したと発表しました。

大規模生産でも安定性を実証


MicroHarvestは、生産プロセスを1つの容器で日産10トンまで拡大することに成功。従前の生産能力の10倍に相当し、市場の需要を満たす量の持続可能なタンパク質を供給する能力を実証できたとしています。

同社CEOのKatelijne Bekersは、「多くのスタートアップ企業が少量(数kg)のパイロット生産以降のスケールアップに苦戦している中、当社は常に50〜100kgの生産試験を成功させてきた。さらなる規模拡大により、タンパク質源の多様化という喫緊のニーズに対応するソリューションを提供できる」と語りました。

今回実施した試験の結果、生産に用いる微生物が安定して予測可能な挙動を示し、小規模試験でも大規模生産でも一貫した工程上の重要なパラメータが確認できたとのこと。

また、凍結保存の状態から本格生産に至るシードトレイン(小型容器から大型容器へと移行していく工程)を、食品産業において使われる従来の方法の10倍以上の速さで実証することにも成功しました。

この成果を受けて同社は、2026年末までに商業規模の生産施設で、品質、高効率、低コストを維持したまま、微生物タンパク質の生産能力を年間15,000トンまで引き上げることを目指しています。

24時間で完結する効率性の高い生産技術


MicroHarvestは、農業副産物を原料とする独自のバイオマス発酵技術により、食品・飼料用のタンパク質を製造。必須アミノ酸、ミネラル、ビタミンを供給するこのタンパク質は、土地と化石由来資源の利用を抑えつつ、わずか24時間で生産を完結させることができ、環境影響を大幅に削減します。

ハンブルクに拠点を置く同社は、1年前にポルトガルの首都リスボンにパイロットプラントを開設。これまでに1,000万ユーロ(約16億4,000万円)を調達しており、現在シリーズBラウンドの完了を目前に控えています。

4月には、植物性ペットフードのメーカーVEGDOGと共同で、世界初の微生物タンパク質をベースとした犬用おやつを開発し、世界的な水産飼料メーカーとも試験を実施。

CEOのBekersは、「大規模なプロセス安定性が実証されたことで、2026年に実際に市場の需要に対応することが可能になった」とコメントしています。

参考記事:
MicroHarvest Scales Microbial Protein Production to 10 Tons Daily in New Trial
Aquafeed.com | MicroHarvest achieves multiple kiloton production target

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