米国の植物性ペットフードメーカーWild Earthが破産申請、事業を継続しながら再建を図る

植物由来のヴィーガンペットフードを開発する米国・ノースカロライナ州のスタートアップ企業Wild Earthが、連邦破産法第11章(チャプター11)の適用を申請しました。創業から7年余りで経営破綻となりましたが、負債を整理し再生の方法を探ります。

投資番組で話題を呼ぶも、徐々に売り上げが減少


共同創業者でCEOのRyan Bethencourtは、ペットフードに取り憑かれ、業界が環境や健康に及ぼす害について学んだことから、2017年にWild Earthを設立。

2019年に米国の投資リアリティ番組「Shark Tank(シャーク・タンク)」に出演し、実業家のマーク・キューバンから55万ドル(約8,200万円)の投資を獲得したことで、全米で話題となりました。

同社の製品ポートフォリオはドッグフードとペット用スナック、サプリメントが中心でしたが、最近ではキャットフードにも手を広げ、昨年8月には完全栄養をうたった「Unicorn Pate」を発売。一時は培養肉の開発にも取り組んでいたものの、財政上の理由から中断しています。

創業以来、投資家から5,000万ドル(約74億5,000万円)近くを調達してきた同社ですが、2023年の売上高は1,070万ドル(約15億9,000万円)、2024年は760万ドル(約11億3,000万円)。Bethencourtによるとこの辺りまではまだ黒字だったとのことですが、今年に入ってからの売上は59万ドル(約8,800万円)と落ち込んでいました。

返済に十分な資本を確保できず


Wild Earthは、裁判所への提出書類で240万ドル(約3億5,800万円)の資産と1,260万ドル(約18億8,000万円)の負債を報告。連邦破産法第11条(チャプター11)の適用申請により負債の再構築が可能となり、事業を継続しながら再建を図ります。

Bethencourtは、このニュースを最初に報じた『Triangle Business Journal』に対し「ベンチャー投資家が見つからなかった」と語りました。数カ月に及ぶ交渉もむなしく、ベンチャーデットの返済を続けることができず、最大の債権者であるEspresso Capitalが事業を引き継ぐことになったといいます。

低迷の主な原因は、新型コロナ禍以来のサプライチェーンの混乱と、物価高騰に伴う売り上げの減少。同社の製品は従来のペットフードより20〜30%割高であり、消費者の買い控えを避けられなかった様子です。

また、大型小売店などへの進出を目指す中で計画していた、パッケージデザインも含めたリブランディングにも大きな費用がかかっていました。

株式の9.2%を所有するBethencourtは、そのまま同社に残る意向とのこと。「Wild Earthの物語がこれで終わるとは思っていない」と語っています。

Wild Earthに限らず、ベンチャーキャピタルからの資金流入が前年比で64%減少する中、植物性食品業界は苦境に直面。過去12カ月の間に、AkuaSunfed MeatsWillicroftAllplantsなどが事業停止や破産宣告を余儀なくされています。

参考記事:
Shark Tank Vegan Pet Food Startup Wild Earth Files for Bankruptcy, Founder Says ‘It’s Not the End’
Wild Earth, ‘Shark Tank’ vegan pet food startup, files for bankruptcy – Triangle Business Journal

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