ノルウェーのNoMyとFenja BioSolutionsが提携、欧州でマイコプロテインの生産拡大を目指す

ノルウェー企業のNorwegian Mycelium(NoMy)とFenja BioSolutionsが、欧州におけるマイコプロテイン生産の産業化を推進するため、戦略的パートナーシップを締結しました。
食料安全保障を強化する一手に
合意に至った両社は、ノルウェーとEUの双方で高まる需要に応え、持続可能なタンパク質生産を拡大する狙い。欧州が輸入タンパク質への依存を減らし、食料安全保障を強化しようとしている中で、この提携は特に重要な意味を持ちます。
また、EUの欧州グリーンディール* や「Farm to Fork」戦略、地元産の食材や持続可能な食品システムを推進するノルウェーの動きとも一致するものです。
同国は、2030年までに北欧を「世界で最も持続可能で統合された地域」とするビジョンを掲げた「Nordic Nutrition Recommendations」に沿う形で、昨年8月に食生活ガイドラインの改訂を実施。近隣のデンマークやフィンランドなどと並び、代替プロテインを強力に推進しています。
Fenja BioSolutionsのCEOを務めるIdar Alvestadは、「ノルウェーの強力な農業・水産養殖セクターと、革新的なバイオテクノロジー企業とを結び付けることで、食料自給率向上のニーズに応えたい」とコメントしました。
同社はパートナーシップの一環として、マイコプロテイン生産をサポートする特殊加工設備の設計・供給を担います。
* 欧州委員会(EC)が2019年より推進している政策で、EU全体で2050年のネットゼロ達成を目指すもの。
水産飼料から食品へ用途を拡大
NoMyは、真菌生物学者であり人気のラーメン店も経営するDavid Andrew Quistと、ノルウェーでGoogleおよびYouTubeの代表を歴任したIngrid Dynna(CEO)により2020年に設立された企業。
食品産業から出る副産物や排水を高価値のタンパク質原料に変換するバイオマス発酵技術を構築し、カーボンフットプリントを削減するとともに、サーキュラー・バイオエコノミーの実現に寄与します。
石油に次ぐ産業として水産養殖を据えるノルウェーでは水産飼料の需要が高いといい、同社も当初はサーモン養殖用の飼料をマイコプロテインのターゲットに設定していましたが、次第により広い食品用途への活用を目指し、食品メーカーとの協力を進めてきました。
同社は昨年、日本法人のNoMy Japan株式会社(ノーミージャパン)を札幌に設立。日本甜菜製糖株式会社やホクレンと提携を行い、マイコプロテインの供給やアップサイクルサービスの展開を行っています。
参考記事:
Fenja BioSolutions and NoMy Combine Expertise to Scale Mycoprotein Production in Europe
食材製造の副産物から「マイコプロテイン」を生成 NoMy Japan合同会社 【JAアクセラレーターがめざすもの】|JAcom 農業協同組合新聞
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