英国政府がイノベーションハブの新設に約2.7億円を投資、精密発酵などの専門知識拡大を図る

英国政府が140万ポンド(約2億7,100万円)を投資して、精密発酵などの新技術に関する英国食品基準庁(以下、FSA)の専門知識を拡大し、安全性を確認することを目的としたイノベーションハブを新設すると発表しました。
企業に明確な規制枠組みを示す
精密発酵とは、酵母などの微生物を用いて、動物を利用せずに乳清タンパク質のような有用成分を生産する技術。チーズ製造用のレンネットなどを得るために何十年も使われてきた手法ですが、近年、代替タンパク質を生産する方法としての可能性が注目されています。
先日製品化を果たしたVerleyの乳清タンパク質に関する査読付きのライフサイクルアセスメントでは、従来品と比べて温室効果ガス排出量を72%、水の消費量を81%、農地の利用面積を99%削減できるといい、環境面でのメリットも魅力です。
GFI Europeによると、EUの厳しい食品規制を引き継ぐ英国では現在、精密発酵食品は市場に出回っていないものの、FSAではすでにいくつかの認可申請の評価が始まっているとのこと。
科学・イノベーション・技術省(DSIT)からの資金提供を受けて設置される新しいイノベーションハブでは、特に精密発酵乳製品のリスク評価を行うFSAの能力を向上させ、市販化を希望する企業により明確な規制枠組みを示すことを目指します。
代替タンパク質への投資を重ねる英国政府
GFI Europeの分析によると、英国政府はこれまで、代替タンパク質のイノベーションに総額7,500万ポンド(約145億円)を投資しており、これは2021年に出された国家食料戦略レポートで提言されていた金額の半分以上。
ここ数年で代替タンパク質関連の施設も続々と開設されており、バース大学の細胞農業製造ハブ「CARMA」、発酵生産が専門の「Microbial Food Hub」、代替プロテインセンター「NAPIC」、ベゾス・アース・ファンドの「Bezos Centre for Sustainable Protein」などがあります。
政府の資金援助を受けたものもあるこの4施設は先日、代替タンパク質の技術革新を推進するため協力する意向を示す覚書に署名しました。
GFI EuropeのLinus Pardoeは、「今回の発表は、英国が食品イノベーションの世界的リーダーになるための政府の取り組みを示すものだ。起業家が科学者と協力して、ゴールドスタンダードの安全規制を維持した形で製品を市場に投入できるよう支援する狙いがある」とコメント。
「FSAのリスクアセスメント能力への投資は、国民とイノベーター企業に利益をもたらす規制経路の近代化に向けた、前向きな一歩だ」と述べています。
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