スイスのフードテック企業FoodYoung Labs、米MeliBioの植物性ハチミツ事業を買収

米国・カリフォルニアを拠点に植物由来の代替ハチミツを展開するMeliBioが、垂直統合型の食品イノベーションを専門とするスイスのフードテック企業FoodYoung Labsによる買収を発表しました。

「第1世代」の技術を買収・統合


この買収には、植物性ハチミツを展開するMeliBioの「Mellody」ブランドと「第1世代」の技術、および関連する知的財産が含まれ、FoodYoung Labsはこれらの技術を統合して持続可能な食品の開発を拡大させる計画です。

FoodYoung Labsはスイス南部のバレルナでイノベーション施設を運営し、スナックバー、チョコレート、スプレッド、ベーカリー製品、冷凍製品の開発に注力。

ZAZ、Kakoo、Bonnap、FRŸZE、Mani、CimaNormaなどの自社ブランドを保有し、欧州および米国の市場に製品を供給してきました。

創業者でCEOのAbouzar Rahmaniは、「当社では、食の未来とは、料理の芸術、科学、そして倫理的な調達を融合させることだと考えている。Melibioのミツバチに頼らないイノベーションを次のレベルに引き上げ、真にクリーンラベルで未精製の植物性ハチミツを作りたい」と話しています。

外食・小売りに進出するも資金調達で苦戦


2020年に設立されたMeliBioは、ミツバチへの依存を減らすべく独自の手法で開発した植物由来のハチミツ代替品「Mellody」で業界の注目を集めました。

この製品はミシュラン3つ星レストランのEleven Madison Parkを通じて、ハイエンドの外食市場にデビュー。その後、ドイツのAldiとの提携により小売りにも参入しています。

全米500カ所で販売され、外食・小売り・CPGブランドと複数のパートナーシップを締結しているMeliBioですが、投資家からの評価は一定しなかった様子。共同創業者でCEOを務めるDarko Mandichは、2024年は「キャリアの中で最も困難な年」であったと述べました。

Mandichは、今回の買収は同社の目標に向けた進展といい、「フードテック業界で成功するためには、経験豊富な食品会社だけが提供できるような深い根が必要だと考えるに至った。長年の伝統と専門知識を有するFoodYoung Labsは、MeliBioの使命が成長し花開くための適切な環境だと確信している」とコメント。

「共に次のステップへと進み、業界に有意義で永続的なインパクトをもたらせるだろう」と述べています。

精密発酵ハチミツの今後は未定


現在カリフォルニア南部で行われている植物性ハチミツの製造は、一旦はスイスのFoodYoung Labsの施設に移しますが、その後再び米国に戻すことも視野に入れています。

また、より本物に近いハチミツを生産するMelibioの「第2世代」の精密発酵技術は、今回の買収対象に含まれていません。

同社は昨年、この技術でもいくらかの進展を遂げ、少なくとも3種類のタンパク質と酵素の開発ターゲットについて、バイオリアクターを用いた生産まで発展。人工知能(AI)のバイオものづくりへの活用を進めるPow.Bioとの協業も発表し、スケールアップに注力してきました。

その他の企業とも提携を模索していましたが、現在のところ精密発酵ハチミツの今後については未定とのこと。中期的な要検討事項とし、いくつかの選択肢から判断する予定です。

参考記事:
MeliBio Announces Acquisition by FoodYoung Labs | Food Dive
MeliBio acquired by FoodYoung Labs, advancing bee-free food tech – World Bio Market Insights
Honey-without-bees startup MeliBio acquired by FoodYoung Labs: ‘Founders need to adapt, but investors should not back away’

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