スコットランド初のオープンアクセス型300L発酵タンクが始動、約1.7億円の助成金により設置

スコットランドで今月、オープンアクセス型の300リットル発酵タンクが初めて設置されました。
スコットランド開発公社(Scottish Enterprise)による847,000ポンド(約1億6,600万円)の助成金を受けて実現したもので、同国のバイオテクノロジー業界を大きく前進させ得る出来事として注目されています。
バイオテクノロジー業界の「死の谷」を克服
スコットランド政府は、2045年までにネットゼロを達成するため、バイオテクノロジー産業における課題の解決を戦略的投資の重点分野として位置付けています。
撹拌槽型発酵タンクが新設されたのは、エディンバラのヘリオット・ワット大学内にあるイノベーションセンター(IBioIC)が運営する、スケールアップ施設の「FlexBio」。
これによりIBioICの生産能力が大幅に向上し、上流バイオプロセスの処理容量が従来の30リットルから10倍となる300リットルに増強されました。
タンクは酵母、細菌、藻類などの培養に利用でき、培養肉、精密発酵、持続可能な代替素材用の天然染料や繊維、医薬品や化粧品向けバイオベース原料などの製品開発を可能にします。
バイオものづくりを行う企業が直面する生産能力不足や設備投資の問題に対応して、スコットランドにおけるバイオテクノロジー産業の成長を加速させるのがIBioICの狙い。
CEOを務めるMark Bustardは、「多くの企業が次なるステップへと進むために必要なスケールアップインフラを提供すれば、ラボスケールから産業規模への移行がよりスムーズになるだろう」と説明しています。
FlexBIOはまた、社内で専門知識の不足するスタートアップ企業に対して、最先端の設備に加えて技術面での支援もワンストップで提供するとのこと。
スコットランド開発公社CEOのAdrian Gillespieは、「より多くの企業のスケールアップを支援し、スコットランドに良質な雇用と経済成長をもたらすことに注力したい」とコメントしています。
参考記事:
Scotland’s bioeconomy boosted by launch of £850,000 scale-up technology | Scottish Enterprise Newsroom
Scotland Gets Its First Open-Access 300L Fermenter Thanks to £847K Grant
IBioIC unveils £850,000 fermenter to supercharge Scotland’s bioeconomy | PPTI News
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