Mission Barnsの培養脂肪が米USDAの審査をクリア、第3四半期に小売り・外食の両市場で展開へ

米国のフードテック企業Mission Barnsが、培養豚脂肪に関して米国農務省(USDA)の認可を取得。米国内での販売が解禁となり、スーパーマーケットチェーンSprouts Farmers Marketの一部店舗、およびレストランFiorellaでの発売計画を発表しました。
培養脂肪で初の製品化、第3四半期にも実現予定
米国の各州が培養肉の禁止措置導入を進めている一方で、連邦レベルでは細胞培養食品への認可が相次ぐ記録的な一年となっています。
Mission Barnsが米国食品医薬品局(FDA)からの安全性認可を得たのは今年3月。このたび、もう一つの規制当局USDAから、サンフランシスコに構えるパイロットプラントの検査証明書(GOI)および製品ラベルの表示認証を取得し、国内での販売が全面的に認められました。
同社の培養脂肪は、植物由来の原料と混合されてハイブリッド(培養脂肪は10%未満)のミートボールやスモークベーコンとなり、サンフランシスコ・ベイエリアのレストランFiorella Sunsetと、小売り大手のSprouts Farmers Marketで第3四半期にデビューする予定。
小売り展開が始まれば、Sproutsは培養食品を販売する米国初のスーパーマーケットとなる見込みです。
ミートボールにはエンドウ豆タンパク質を、ベーコンには小麦のタンパク質を使用しており、そのほかにはスパイスやハーブのような一般家庭でもなじみの材料が使われているとのこと。
同社CBO(最高業務責任者)のCecilia Changは、「機能や風味の面において、従来の肉と植物性食品との間の架け橋となる存在」と説明しています。
シンガポールなどのアジア市場も見据える
細胞培養により作り出した脂肪は、中期的には培養肉を市場に投入するための重要なピースとされる要素。脂肪は風味の主要な担い手であり、少量でも従来の食肉を再現する上で大きな効果を発揮します。
Mission Barnsの豚肉製品は現在、高級肉と同等の価格設定となっていますが、これは「培養生産の新規性と小規模性」を反映したもの。
同社はすでにコスト効率良く大量生産が可能なバイオリアクターも開発しており、長期的には従来の肉と同等価格の実現を目標としています。
培養脂肪の製品化を目指すスタートアップ企業には、英国のHoxton Farms、カナダのGenuine Tasteなど。オランダのMosa Meatは、EUと英国で新規食品の認可申請をすでに済ませています。
Mission Barnsは米国での認可取得に続き、シンガポールや、培養肉にオープンで積極的に枠組み構築に取り組むアジアの一部の国など、優先度の高い市場を特定。B2Bのパートナーと連携して、近い将来の製品上市に向けた進出を検討しているようです。
参考記事:
Mission Barns is betting that animal-free pork fat will make artificial meat delicious | TechCrunch
Mission Barns Completes USDA Approval to Clear the Way for Cultivated Pork Fat Launch
USDA approves world’s first cultivated pork and fat products | New Tech Foods
Mission Barns secures USDA green light for cultivated fat, plans Q3 launches
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