イスラエルで精密発酵乳製品の小売り展開がスタート、Strauss Groupがアニマルフリーの乳製品ラインを発売

世界20カ国以上で事業を展開するイスラエルの食品・飲料メーカーStrauss Groupが、代替乳製品の新ライン「CowFree」を発表しました。
精密発酵により生産されたアニマルフリーの乳清(ホエイ)タンパク質を使用した製品です。
精密発酵乳製品の小売り展開、イスラエルでは初の事例に
「CowFree」シリーズの第1弾はクリームチーズとドリンクで、いずれもユダヤ教の戒律に基づくコーシャ認証を取得。
数週間以内にイスラエル全国の小売店で販売が始まり、国内のスーパーマーケットに並ぶ初の精密発酵乳製品となる見込みです。
原料として使用されているβ-ラクトグロブリン(牛乳に含まれる主要な乳清タンパク質)は、Strauss Groupのインキュベーター「The Kitchen FoodTech Hub」により2020年に立ち上げられたスタートアップ企業、Imagindairyが精密発酵プロセスで生産したもの。
味、食感、栄養価の面で牛由来のものと同一であり、コレステロールや乳糖、ホルモンを含みません。
Strauss Neoの責任者Barak Weinsteinは、「CowFreeは乳製品の消費体験を変革し、カテゴリーそのものを再定義するだろう。技術革新と卓越した食体験を結び付け、食品産業におけるターニングポイントとなる出来事だ」と述べました。
同社は今後、「CowFree」ラインへのさらなる製品の追加投入を予定しています。
麹菌の発酵で乳清タンパク質を生産
精密発酵の技術では、特定のDNAを微生物に導入することで、発酵時に目的の分子を生成させるよう誘導。これにより得られるβ-ラクトグロブリンは、ゲル化・起泡・乳化特性に優れ、さまざまな食品・飲料の口当たりを向上させるだけでなく、ほかのタンパク質と比べても優れた栄養供給源となります。
Imagindairyは、味噌や醤油といった発酵食品でも主役となる麹菌(Aspergillus oryzae)を使用。AI主導で構築した独自の生産手法で、飼料をタンパク質へ変換する効率が牛の20倍高いという微生物に餌を与えて成長させます。
現在10万リットルの発酵能力を持つ工業規模の施設を運営しており、これにより従来の乳製品と同等以下の価格で試作品を生産できる体制を構築。
昨年、米国食品医薬品局(FDA)のGRASステータスに続き、イスラエル保健省(IMOH)からの販売認可を取得していました。
同社はSNS上の声明で、「数多くの障害を乗り越えてついにこの瞬間を迎えられ、決意と信念でビジョンを現実に変えられると示すことができた」とコメント。
「これは、アニマルフリーの乳製品を消費者に届ける歴史的な第一歩であり、精密発酵技術で牛に頼らずに乳製品の味、食感、そして喜びをもたらせることを証明するものだ」としています。
参考記事:
Imagindairy | LinkedIn
Cow-Free Dairy Debuts in Israel: A Groundbreaking Step in Sustainable Food Innovation
Strauss Group Unveils Cow-Free Milk & Cheese with Imagindairy’s Whey Protein
Strauss Group launches ‘cow-free’ range featuring animal-free whey from Imagindairy
この記事へのコメントはありません。