Verleyの精密発酵ホエイが米国でFDA GRASステータスを取得、2026年に消費者向け製品化の可能性も

精密発酵を手掛けるフランスのVerleyが、2種類の乳タンパク質について、米国食品医薬品局(FDA)よりGRAS(Generally Recognized as Safe:一般に安全と認められる)ステータスに関する「No questions(異議なし)」レターを受領したと発表しました。

創業3年でFDAのお墨付きを得る


このレターは、Verleyが提出した安全性データをFDAが審査し、食品用途における安全性についてそれ以上の疑義のない旨を正式に確認したもの。同種の原料で認可を受けた例としては、Perfect DayImagindairyViviciなどに続く企業となりました。

認可を得たVerleyは、早ければ来年にも米国の小売市場へ精密発酵乳タンパク質を投入する態勢を整え、将来的には国際的な拡大も計画しています。

VerleyがFDA GRASステータスを取得したのは、主にβ-ラクトグロブリン(BLG)で構成される乳清タンパク質の2製品で、代替乳製品やスポーツ栄養向けの「FermWhey Native」と、缶やボトル入り飲料など複雑な食品に配合した際の安定性強化を目的とした「FermWhey MicroStab」。

いずれも、ビール醸造に似たプロセスで、牛の代わりに微生物を活用する精密発酵により作られたものです。同社は今年初めにGRAS自己認証を行った後すぐにFDAへの通知を出しており、通常のタイムラインどおり9カ月ほどで正式認可を得られました。

EUやアジアでの認可取得も検討中


CEOを務めるStéphane Mac Millanは、生成されたタンパク質に独自の機能を付加するプロセスが、他社との差別化要因と説明。「精製後にタンパク質の構造と挙動を調整し、食品用途における溶解性、耐熱性、食感、透明性などを実現している。これにより、優れた栄養価を持たせ、高タンパクのクリーンラベル製品への配合という課題を解決できる」と話しています。

Verleyはまた、「FermWhey」シリーズの残る1つの製品「FermWhey Gel」についても申請準備も進めており、来年の提出を計画。製品ごとに固有の特性と用途があるため、すべての申請書類を厳密かつ十分に文書化できるよう時間をかけて進めているといいます。

Mac Millanは、2022年の創業以来の急速な進展を強調。「わずか3年で今回の承認を得られたことは、チームの努力と精密発酵技術の可能性を証明するものだ。米国での商業化を推進し、継続してグローバル展開を行いたい」と述べました。

精密発酵を巡る最大の問題の一つとなる生産コストについては明言を避けているものの、まずは医療用栄養食品、高タンパク飲料、機能性食品といった高付加価値用途に注力する方針を明らかにしています。

また、展開拡大に向けて米国以外の市場の規制当局とも協議を進めている最中で、世界中の食品・飲料メーカーに持続可能な代替タンパク質を提供する機会をうかがっています。

参考記事:
Verley’s Precision-Fermented Dairy Proteins Cleared by FDA for US Market
With FDA Approval, Verley Plans 2026 Launch for Functional Cow-Free Whey Proteins
French biotech Verley clears FDA safety milestone for functional dairy proteins | The Plant Base

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