インド政府がバイオエコノミー計画推進に向けたロードマップを発表、「スマートプロテイン」にも焦点

インド政府の政策シンクタンクが、2035年までに同国のバイオエコノミーを6,910億ドル(約113兆円)規模へと成長させる原動力として、スマートプロテイン(=代替プロテイン)、精密発酵、バイオ製造といった分野を対象に含めた今後10年間のロードマップを公表しました。
バイオインダストリー分野の成長に期待
「2035年までにインドをバイオエコノミーの主要大国にする」と銘打たれたこのロードマップは、インド政府の政策機関であるNITI Aayog傘下のNITI Frontier Tech Hubが、科学技術省のバイオテクノロジー庁、およびバイオテクノロジー企業の業界団体ABLEとの協議を経て策定したものです。
NITI Aayogは、インドのバイオエコノミーは過去4年間、年率18%近い成長を遂げていると指摘。この規模を、現状GDPの4.8%に相当する1,953億ドル(約32兆円)から、2035年に6,910億ドル(約113兆円)、2047年には2兆6,000億ドル(約426兆円)へとさらに拡大させる道筋を示しています。
その中でも、特にスマートプロテイン、酵素、食品グレードの培地、バイオポリマーなどを含む「バイオインダストリー」セグメントは、2030年には1,804億ドル(約29兆5,000億円)、2035年には3,180億ドル(約52兆1,000億円)に成長すると予測されています。
本ロードマップは、2024年8月にインド政府が打ち出した「BioE3」政策を基盤としています。そこでは、スマートプロテインや機能性食品が、高性能なバイオ製造における6つの重点分野の1つとして挙げられていました。
以降、国内では各種のイノベーションセンターや動物幹細胞を集めたバイオバンクが開設されるなど、政府による積極的な支援がなされています。
国家ミッションでスタートアップ企業の育成を促す
NITI Aayogは、ロードマップで示す長期計画を実現に移すための具体的なプラットフォームとして、6つのミッション(National BioMissions)を立ち上げる提言を行いました。
その中の1つ「BioX Foundry」は、合成生物学を対象としており、スマートプロテイン、持続可能な産業用酵素、新規バイオ素材、価値の高い生化学物質などの開発を支援するものです。
本ロードマップでは、このミッションで開発する自動化されたDBTL(設計・構築・評価・学習)プラットフォームの活用により、2035年までに少なくとも100社の合成生物学スタートアップを育成するという目標を掲げています。
さらに、企業が基盤となる知的財産を自社で保有することなく、バイオ由来製品をパイロット生産や商業化前段階の生産へと移行できるよう支援する体制も整えられます。
また、別のミッション「AgriBio 2.0」では、CRISPR技術を用いた遺伝子編集や分子育種を応用して、干ばつや高温、塩害への耐性を持つ作物品種を開発するとともに、バイオ肥料やバイオ農薬の普及拡大を図ります。
認可プロセスの迅速化も提言
これらの計画の資金を確保するため、ロードマップでは2026〜35年を対象とする「バイオエコノミー成長基金(BioEconomy Growth Fund)」の設立が提案されています。
この基金は、インドがすでに設けている1兆ルピー(約1兆7,000億円)規模の研究・開発・イノベーション支援の枠組みから拠出されるもの。精密発酵、バイオ素材、合成生物学などの分野におけるミドルステージおよびレイターステージのスタートアップ企業を対象に、概念実証(PoC)から大規模生産に至るまでの「死の谷」を乗り越えるための支援を行うことが目的です。
NITI Aayogはまた、規制手続きの遅れを競争上のリスクとして指摘。具体的には、承認にかかる期間が他国では平均約500日であるのに対して、インドでは900日を要している点に言及し、規制サンドボックスの導入や、バイオ由来製品専用の認可プロセスの整備を提言しました。
すでに国家主導のバイオエコノミー戦略を大規模に展開している米国、欧州連合(EU)、中国を比較対象として挙げ、今後10年間をインドにとっての極めて重要な好機と位置付けています。
インド政府の科学技術相Jitendra Singhは、今後のステップについて、「高性能なバイオ製造、産業界との連携強化、そしてヘルスケア・農業・気候変動対策・持続可能な製造といった分野での新たな機会を通じて、イノベーションを大規模なインパクトへと転換していくことが求められる」と述べました。
参考記事:
Press Release Page | Press Information Bureau
India Targets $691B Bioeconomy by 2035 as Fermentation and Smart Proteins Enter National Strategy
Six BioMissions, Rs 50,000-crore fund and more: Niti Aayog’s roadmap to turn India into $691 billion bioeconomy – The Times of India


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