Umami Bioworksがチョウザメの細胞を培養したキャビアを発表、TikTokで増加するZ世代のニーズに応える
シンガポールを拠点に培養シーフードの開発を行ってきたUmami Bioworksが、高級レストランや小売店のハイエンド市場に向けて新たに開発された培養キャビアを発表しました。
世界的にキャビアの需要を牽引しながらも、同時に持続可能性と倫理的な調達を優先事項と考えているZ世代とミレニアル世代を引きつけ、展開を図ります。
細胞培養による持続可能な代替キャビア
チョウザメの卵巣を摘出して作られるキャビアは高級食材として知られていますが、世界自然保護基金(WWF)によると、乱獲によりチョウザメは地球上で最も絶滅の危機に瀕している種となっており、全個体中の90%が危機に直面しているとのこと。
チョウザメの養殖に伴うさまざまな問題も指摘されているほか、近年の温暖化とそれに伴う海面上昇、水質汚染がチョウザメの個体数、行動、繁殖周期の乱れを引き起こしています。
それでもキャビアの市場規模は4億ドル(約622億円)超と巨大で、TikTokでの流行もあって売り上げは爆発的に増加。Z世代のインフルエンサーが牽引した「#CaviarTok」のトレンドは何百万回もの動画再生回数を記録し、2020年以降74%の売上増につながったばかりか、市場はさらに40%以上拡大するとみられています。
Umami Bioworksが開発した最新の製品は、これらの若年層を主なターゲットにしたもの。チョウザメの培養細胞と植物由来の原料をブレンドし、オメガ3脂肪酸、抗酸化物質、人体に欠かせない微量栄養素を豊富に含んだ、高級レストランや小売店などハイエンド市場向けの製品です。
同社でプロダクトマネージャーを務めるGayathri Maniは、「一流ブランドと提携して、多様な用途向けにカスタマイズされた幅広い製品を共同開発していきたい」とコメントしています。
利幅の大きいハイエンド市場に注力
持続可能で倫理的な代替キャビアを開発する企業はいくつか存在し、植物由来の原料や海藻、アルギン酸ナトリウム、寒天などを用いた例ではCavi·Art、Zeroe、Cavinoirなど。
Umami Bioworksと同様、細胞培養キャビアに取り組む企業には、韓国のCellMEAT、米国のMarinas Bio、Caviar Biotecなどがあります。
培養肉・シーフードの市場化にあたり、比較的低価格で手に入れやすい鶏肉や牛肉ではなく、キャビアのようなプレミアム品に焦点を当てる例は増加中。
培養フォアグラを開発するVowやGourmeyもその一つで、利幅を大きくすることで開発コストの早期回収と、従来の製品と同等に近い価格の実現による迅速な市場浸透が期待されます。
Umami Bioworksは昨年、米国、欧州、アジアの主要市場で規制認可に係る申請書類を提出している様子。今年は、ペットフードメーカーのFriends & Family Pet Food Co.と協力して、培養魚を用いた猫用スナックを米国で発売する予定です。
参考記事:
No Comp-roe-mise: Asian Alt-Seafood Leader Swims Into Gen Z TikTok Trend with Cultivated Caviar
UMAMI Bioworks Develops Cultivated Caviar to “Reshape the Definition of Luxury”
Decoding the democratisation of caviar
How Climate Change is Affecting Caviar Production – Caviar Skazka
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