オランダの培養肉企業Meatable、Pelagenとの提携でアニマルフリーのレザーへと事業を拡大
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オランダの培養肉企業Meatableが、アニマルフリーのレザーを製造するPelagenとの提携により、代替レザー事業への拡大を発表しました。
培養肉の認可を待つ一方で、レザー業界に初進出
この提携で両社は、幹細胞をあらゆるタイプの細胞に分化できるようプログラムするMeatableの独自技術「OPTi-OX」の、レザー製造への活用を検討。最も効果的な培地処方と培養プロセスの開発に向けても協力し、コスト削減、品質向上、生産スピードと効率の向上を図ります。
主に石油由来のプラスチックを使用しており、分解に500年を要する従来の合成皮革とは異なり、細胞ベースの皮革は温室効果ガスの排出や廃棄物、マイクロプラスチックを劇的に削減することが可能。従来のレザーと限りなく同じ外観、手触り、匂いまでも再現することができます。
動物に頼らずに皮膚組織を培養し、生物学的に同一の代替レザーを作ることを専門としてきたPelagenとの提携によりMeatableは、シンガポールの規制当局からの販売認可を待ちながら、将来を見据えて食品業界以外に初進出。
CEOのJeff Tripicianは、「当社が食肉の生産・消費の方法に革命を起こしているように、Pelagenは持続可能なアプローチでレザー製造を再定義している。当社の技術を通じて、彼らのビジョンと市場化を支援したい」とコメントしています。
4日間でスピード培養を可能にする独自技術
Meatableはウシ胎児血清(FBS)を使わず、人為的な形質転換により得られる細胞株とは異なり自然に増殖を続ける能力を持つ多能性幹細胞と、転写因子(遺伝子の活性を調節するタンパク質)を活性化する特許技術「OPTi-OX」を用いて培養肉を生産。
昨年3月、新たな生産上のマイルストーンを達成し、わずか4日間で細胞を培養ソーセージに変えることができるようになったと発表しました。
その1カ月後、EUでは初となる培養肉の試食イベントを開催し、オランダ王子のConstantijn van Oranjeやミシュラン2つ星シェフのRon Blaauwといった著名人が出席。
10月にはオランダ企業庁(RVO)の「Innovation Credit」プログラムで760万ユーロ(約12億1,000万円)を獲得し、米『TIME』誌の権威ある「The Best Inventions of 2024」に選ばれています。
培養レザー開発企業の動向
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培養レザーに取り組むその他の企業の動きとしては、同じオランダの培養肉のパイオニアMark Postが設立したQoriumが、昨年35cm四方の培養レザーのサンプル生産に成功。
フランスのFaircraftは、シリーズAラウンドで1,580万ドル(約24億円)を調達。地元の革職人やファッションブランドと協力し、初のハンドバッグを完成させています。
英国では、BSF Enterpriseが昨年、培養レザーを扱う子会社Lab-Grown Leather Limitedを新たに設立しました。シンガポールのProjectExは、クロコダイルやダチョウに代わるエキゾチックレザーの培養生産に取り組んでいます。
参考記事:
Meatable and Pelagen Partner to Improve Scalability of Cultivated Leather
Cultivated Pork Maker Goes Beyond Meat with Animal-Free Leather Collab
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