デンマークのUnibioがサウジアラビアで合弁設立、600億円近くを投じて世界最大のガス発酵施設を建設へ

デンマークの発酵技術スタートアップUnibioが、Saudi Industrial Investment Group(SIIG)との間で、温室効果ガスから持続可能なタンパク質原料を生産する世界最大規模の工場建設に関する契約を締結したと発表しました。

2028年から年間5万トン規模での稼働を目指す


Unibioは、サウジアラビア政府が一部出資するSIIGとの合弁事業として、同国東部のペルシャ湾に面したアル・ジュバイルにガス発酵の生産施設を建設することで合意しました。

プロジェクトの総工費は14億サウジアラビア・リヤル(約592億円)と見込まれており、ガス発酵の拠点としては世界最大。建設資金はSIIGの内部資本、融資、および複数の政府機関による支援で賄われます。

建設は年内に開始され、2027年半ばに完了する予定。SIIGが80%、Unibioが20%の株式を保有し、2028年の商業生産開始を目指しています。

サウジアラビアのエネルギー省から供給される乾性ガスを原料に年間5万トン単細胞タンパク質を生産し、その後数年間で生産量を30万トンに増やす計画です。

飼料用途に続き、ヒトの食品でも市場化を計画


Unibioは高度な発酵技術を用いて、バイオガスなどの炭素を豊富に含んだ原料を、環境に優しいタンパク質「Uniprotein」に変換します。このプロセスは耕作地を必要とせず、水の使用量を大幅に削減しながら、過酷な環境下でも大規模生産が可能です。

生産プロセスでは、まずメタン、酸素、アンモニアなどを含むガスをバイオリアクターに投入。メタンを代謝して栄養源にできる微生物(メタノトローフ)が発酵過程でガスを消費し、タンパク質を生成します。

バイオマスを収穫した後は、水分を除去して濃縮。この濃縮バイオマスは熱処理と乾燥処理を経て、動物飼料や養殖飼料、ペットフード、そしてヒト用の食品まで、さまざまな製品に配合されます。

「Uniprotein」は乾燥重量で70%以上のタンパク質を含み、脂肪分は9%、タンパク質消化率は85%。大豆粕や魚粉と類似したアミノ酸組成を持ち、森林破壊や農薬、抗生物質とは無縁のタンパク源を供給します。また、非遺伝子組み換えであり、長期保存も可能です。

Unibioは、サウジアラビアでは養殖飼料、EUでは動物飼料用として規制当局の承認を取得しており、すでに市場にも投入済み。そのほかにも世界各地で申請手続きを進めている最中で、ヒト用の食品向けでも開発を進めています。

注目を集めるガス発酵の分野をリードしているのはフィンランドのSolar Foodsで、シンガポールと米国でタンパク質原料「Solein」の発売を実現させ、2つ目の大規模工場も建設中。そのほか、CalystaAir ProteinAerbioなどが技術開発に取り組んでいます。

ビル・ゲイツの保有する財団と製薬大手のノボ ノルディスクは、2023年よりCO₂をタンパク質に変換する取り組み「Acetate Consortium」を実施しており、昨年その期間を2年間延長しました。

石油への依存を減らし、経済の多角化を図る


SIIGは今回の合弁事業に先立ち、2023年に事業多角化戦略の一環でUnibioへ7,000万ドル(約111億円)の投資を行っていました。CEOのAbdulrahman Alismailは、「Unibioの技術を活用して、サウジアラビアを単細胞タンパク質生産のリーダーとし、国内および世界の人口増加に対応した食料安全保障の強化を目指す」と述べています。

サウジアラビアは「ビジョン2030」の一環として、石油への依存度を低減し経済の多角化を図ることで、持続可能な成長と国際競争力の強化を目指しています。

これまで国内の食品会社との協働により、地元産の植物を用いた代替プロテインを開発してきました。同国のKhaled bin Alwaleed王子は、Beyond Meat、BlueNalu、TurtleTreeといった代替プロテイン分野の企業に積極的な投資を行っています。

また、サウジアラビア北西部で建設が進められている未来都市NEOM(ネオム)は、グリーン農業、パーソナライズドニュートリション(個人に最適化された栄養改善)、そして新規食品の開発を通して地球の健康と食料安全保障を守ることを目指す食品会社Topianを保有。

昨年、ネオムの投資部門NEOM Investment Fundは、サウジアラビア国内に大規模な精密発酵施設を建設するため、米国のスタートアップ企業Liberation Labs(現:Liberation Bioindustries)に投資しました。

参考記事:
Unibio to Build $373M Gas Protein Factory in Saudi Arabia, Dubbed the ‘World’s Largest’
Unibio plans ‘world’s largest single-cell protein plant’ in Saudi Arabia as food security moves up agenda
Saudi Arabia to fund ‘world’s biggest’ single-cell protein plant for aquafeed | IntraFish.com

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。