マリーゴールドの花が有望なタンパク質原料となる可能性 —ジョージア大学&インド工科大学研究

タンパク質豊富な植物由来の食品・飲料に対する消費者の需要が高まり続ける中、米国・ジョージア大学インド工科大学デリー校の研究チームが、ポットマリーゴールド(食用キンセンカ)の花をアップサイクルし、持続可能なタンパク源として利用する可能性を探求。

大豆やエンドウ豆などの既存の食材に匹敵する機能性を持ったタンパク質が含まれていることを発見して、有望な選択肢になり得ると結論しました。

相当量が廃棄されている花を、食品用途に活用


マリーゴールドは、主に観賞用やルテインなどの天然色素の原料として、世界中で大規模に栽培されています。米国ではGRAS(一般に安全と認められる)認証を受けた原料として食用に供され、サラダやスープに彩りと風味を添える一方、インドでは結婚式や宗教儀礼に用いられます。

しかしながら、インドで生産される花の約40%は収穫後に廃棄されており、米国の花卉産業も毎年相当量の廃棄物を排出していることから、環境負荷と経済的機会の損失につながっていると研究チームは指摘。

この廃棄物から抽出したタンパク質を活用して、食品にうま味を加えたり、代替乳製品やサラダドレッシングの乳化剤として機能させたりできる可能性を示唆しました。

代替プロテイン業界では、アレルギーやサプライチェーンの問題から、大豆やエンドウ豆以外の原料への多様化を図るため、利用度の低い植物や廃棄物由来の資源への注目が高まっており、ヒマワリや醸造後のビール粕が研究対象として注目されています。

ジョージア大学准教授のAnand Mohanによると、「マリーゴールドの持つ生物活性化合物(フラボノイドやカロテノイド)については広く研究がなされてきたが、タンパク質成分、特に食品用途に関連した構造と機能の関係性については、研究がほとんど存在しなかった」とのこと。

本研究では、タンパク質を抽出するだけでなく、その機能性や構造的特性を体系的に評価することでこのギャップを埋め、マリーゴールドタンパク質を食品業界にとって有望な原料として位置付けようと試みました。

起泡性、乳化性、抗酸化作用などを確認


ACS Food Science & Technology』誌に掲載された論文の著者らは、乾燥させたマリーゴールド(Calendula officinalis)の粉末に約10%のタンパク質(主にアルブミン)が含まれていることを発見。これを分離・抽出して、有効タンパク質の92%以上を回収しました。

4段階の液体抽出法を用いてタンパク質を分離したところ、一部の抽出物にはグルタミン酸とアスパラギン酸が高濃度で含まれていると判明。食品の種類・添加濃度・加工条件によっては、ほのかなうま味を添える効果が期待できます。

マリーゴールド由来のタンパク質はまた、105℃までの耐熱性を維持しました。これは、エンドウ豆やヒヨコ豆の耐熱温度よりも高い値であり、ベーカリー製品のほか、加熱しながら押出成形を行う代替肉やスナック菓子においても、機能性を大きく損なうことなく利用できるものと考えられます。

Mohanは、マリーゴールドタンパク質が植物性飲料や代替乳製品において、天然の乳化剤および安定剤として利用できる可能性も指摘。さらに、高い起泡性を持つため、製パンやホイップクリームなどの製品に使用すれば食感や口当たりを向上させられるといいます。

「マリーゴールドタンパク質は保水性と保油性に優れており、ソース、ドレッシング、スプレッドといった製品に用いると、粘度と安定性を高められる。それに加えて、抗酸化作用と風味向上に関与するアミノ酸が含まれているため、製品の保存期間と官能特性の両方を改善できる可能性も示唆される」とMohanは述べています。

次世代クリーンラベル原料の開発を目指す


研究チームは次のステップとして、得られた知見を実際の食品用途と産業規模での生産へと応用することに焦点を当て、マリーゴールドタンパク質を植物性飲料、ベーカリー製品、代替肉などの試作品に組み込み、機能性・官能特性の評価と消費者による味覚テストを実施する予定。

また、大規模生産における収量と効率を向上させるため、抽出・加工技術の最適化も検討しています。

消費者受容についてMohanは、「単に珍しい花由来のタンパク質ではなく、持続可能な植物由来の機能性成分として位置付ければ、自然で環境に配慮した食品を求める消費者ニーズに強く合致するだろう。透明性のあるコミュニケーションと、なじみのある製品への統合によって、特に健康志向でサステナビリティを重視する消費者の間で高い支持を得られると確信している」と見解を述べました。

また、イノベーションを実社会に影響を及ぼす食品用途へと転換するためには、学術界と産業界の緊密な連携が不可欠であると強調し、スケールアップ、製品の検証、商業化に焦点を当てたパートナーシップを模索しています。

チームが開発したマリーゴールドのアップサイクル手法は、一般的に廃棄されるその他の花や植物由来の副産物にも容易に応用できるとのこと。すでにブロッコリー、バラ、ハイビスカスなどについても、食品システムにおける潜在的な用途の探求を積極的に進めています。

「今後は、マリーゴールド以外の食用花や副産物の評価も行って研究を拡大し、食品業界におけるイノベーションと持続可能性の両方を支える、次世代クリーンラベル原料の開発を目指す」とMohanは語っています。

参考記事:
Marigold Flowers Could Become a Viable Protein Ingredient, New Study Finds
Upcycled marigold flower waste boosts flavor, texture & sustainability in foods, research finds

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