独Pacifico Biolabs、遊休ビール工場のインフラを活用した菌糸体タンパク質生産を拡大するべく約13億円を調達

菌糸体タンパク質を手掛けるドイツのPacifico Biolabsが、シリーズAラウンドで700万ユーロ(約13億円)の資金調達を完了したと発表しました。クリーンラベルでコスト効率の高い代替鶏肉の生産規模拡大と、小売り市場への投入を目指します。
年内にスーパーマーケットでの展開開始へ
Pacifico Biolabsの最新のシリーズAラウンドには、Stray Dog Capital、ザクセン州に特化したベンチャーキャピタルのTGFS、Sprout & About Ventures、Simon Capital、FoodLabs、そして地元のビール醸造会社が参加しました。
当初は代替シーフードを最初の開発ターゲットに据えていたPacifico Biolabsですが、その後鶏肉の代替品へと方向転換し、「Viando」ブランドでB2B顧客向けの販売を計画中です。
「今回の動きは、何よりもまず顧客ニーズに応えたものだ。多くの顧客から質の高い鶏肉製品を求める声が挙がっており、偶然にも私たちにはそれを生産する能力があった」と、共同創業者でCEOのZac Austinは語っています。
同社はバイオマス発酵技術を用いて菌糸体タンパク質を生産し、外食産業の顧客のほか、食肉および代替プロテイン製品の製造業者やブランドにも提供してきました。
わずか5種類の原材料で作られる同社の代替肉は、タンパク質含有量30%、必須アミノ酸をすべて含み、食物繊維が豊富で脂肪分が少なく、クリーンラベルで加工度の低い食品を求める消費者ニーズにぴったり合致しています。
同社は、菌糸体が代替プロテインの3つの主要課題とされるコスト、食感、栄養価を同時に改善できると主張。菌糸体は鶏肉と似た食感を自然に備えているため、優れた製品を作るのに多くの添加物や加工を加える必要がないことが最大の特長だといいます。
今回の資金調達により、人員を増強して生産量を月間200トンに拡大するとともに、商業的パートナーシップを構築し、2026年末までにドイツ、オーストリア、スイス、北欧諸国のスーパーマーケットで菌糸体ミートの販売を開始する予定です。
使われていない醸造タンクの活用で、設備投資を削減
Z世代主導の「ソバーキュリアス(飲酒を控える)」という意識の高まりにより、欧州連合(EU)におけるビール生産量は5年連続で減少しています。ドイツでは昨年、ビール販売量が過去最大の6%減を記録しました。その結果、多くの醸造所で発酵タンクが遊休状態となっています。
Pacifico Biolabsの菌糸体発酵プロセスの特長は、専用施設が必要で数百万ドルもの費用がかかる従来のバイオリアクターではなく、ビール醸造用に設計されたタンクを使っている点。
同社はこの強みを戦略的優位性へと転換して、新たな工場を建設するという年月もコストもかかるプロセスを回避し、余った醸造タンクを活用することで、低コストかつ拡張性の高い菌糸体ミートの大量生産を実現しました。
「専用の生産拠点を新設する必要が全くなくなるのは、大きなメリットだ。醸造所に新たな設備を導入する必要はあるものの、ほかのアプローチと比べると設備投資額の95%以上を削減できる」とAustinは説明。
「さらにこのプロセスは、これまでに見てきた他社のバイオマス発酵プロセスよりも運用コストが低く、結果として低コストで高品質な製品を提供できる」と述べています。
参考記事:
Pacifico Biolabs raises €7 million Series A to turn idle German breweries into alternative protein factories | EU-Startups
Pacifico Biolabs Brews Up $8M to Launch Mycelium Chicken Grown in Beer Tanks
Pacifico Biolabs raises €7M to turn brewery infrastructure into protein production – Tech.eu
Pacifico Biolabs nets $8m, targets alt-meat cost parity with brewery retrofit model


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