Formoが米国で精密発酵カゼインの販売認可を取得、子会社設立で本格的な商業化へ

ドイツのスタートアップ企業Formoが、精密発酵カゼインタンパク質について米国でGRAS(一般に安全と認められる)自己認証を取得したと発表。米国子会社Formo Foods Inc.を設立し、原料の商業化に向けたパートナーシップも締結しました。

タンパク質の性能ギャップを埋める精密発酵技術


Formoは、GRAS自己認証の取得により、アニマルフリーの乳タンパク質を米国の食品メーカーに販売することが可能になりました。また、提携する同業のThose Vegan Cowboysと共同で米国食品医薬品局(FDA)への通知も完了させ、年内にも正式な承認を受けられる見込みです。

高まるタンパク質需要は、その量だけでなく性能にも変化を迫っており、食品・栄養分野で最も急速に成長しているカテゴリー(GLP-1とメタボリックヘルス、パフォーマンス栄養、高タンパクの日常食)は、従来の乳製品では満たすことのできないタンパク質性能に基づいていると同社は指摘。

精密発酵技術はこの性能ギャップを埋められるといい、完全に仕様が明確で、トレーサビリティと管理が徹底された原料の供給が可能になるとしています。

共同創業者でCEOのRaffael Wohlgensingerは、「精密発酵が酪農に取って代わるというわけではなく、食品業界が構造的な制約を受けずに高性能化時代の需要に対応できるような、新たなタンパク質供給能力を加えるものだと考えている」と述べています。

αs1-カゼインを開発ターゲットに設定


Formoは、乳製品のタンパク質の80%を占め、乳化、ゲル化、増粘、起泡などの機能に関与するカゼインに着目しました。中でも、4種類あるカゼインの1つで、牛乳に含まれるカゼイン総量の約40%に上るαs1-カゼインをターゲットとしています。

αs1-カゼインを発現させるために、特性が十分に解明されている食品グレードの大腸菌株に対して遺伝子操作を施し、撹拌槽型バイオリアクターを用いて規定の発酵条件下で培養。その後、細胞溶解、分離、精製といった標準的な下流工程を経て純粋なαs1-カゼインのみを回収します。

初期の特性評価データでは、このタンパク質が幅広い乳製品用途において優れた機能性を示し、必須アミノ酸をすべて含み、消化率も高いことが示されました。

Formoは次世代の乳製品および栄養食品において、機能的な精度、明確な仕様、そして一貫した性能を求める開発者にとっての最適な原料として、組み換えαs1-カゼインを位置付けています。

GRAS自己認証の内容によると、αs1-カゼインは、代替チーズの原料として100gあたり最大25gまで使用可能。ただし、乳児用粉ミルクや米国農務省(USDA)の管轄下にある製品への使用は認められていません。

米国子会社を通じてサンプル提供を開始


2024年、Formoは発酵麹タンパク質を原料としたクリームチーズ「Frischhain」をドイツで発売し、スーパーマーケットで累計30万個以上を販売しました。

この製品は、精密発酵ではなく同社が「マイクロ発酵」と呼ぶ手法を採用したもので、規制認可に縛られないため、早期に収益を上げることに成功しています。

その後ブランド自体の廃止が決定されましたが、この検証結果を踏まえて、同社は消費者向けブランドとしてではなく、乳製品業界およびより広範な食品業界全体に向けた展開を行うべく、組み換えカゼインの生産プラットフォームに戦略的に注力してきました。

現在は、米国における正式なGRAS認証取得と商業化が最優先事項。米国子会社を設立し、Rx Food Ingredientsとのパートナーシップを締結して、食品・栄養関連企業向けに原料のサンプル提供を開始しています。

これまでに1億3,500万ユーロ(約251億円)を超える額を調達している同社は、今後数年間にわたって事業を継続できる資金力があり、現時点では追加投資を求めていないとのこと。

「今後は、独自のバイオテクノロジープラットフォーム、応用科学、そして商業化のパイプラインを通じて技術を発展させていく予定だ。また、次世代の食品・栄養製品の性能要件を満たす、より機能的でカスタマイズされたカゼイン変異体の開発も継続して行いたい」と、CEOのWohlgensingerは話しています。

参考記事:Exclusive: Formo Cleared to Sell Cow-Free Casein in US After Ending Koji Protein Cheese Run

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。