イスラエル企業Phytolon、パン酵母の発酵で作られる赤色着色料の発売に向けて約37.8億円を調達

イスラエルのフードテック企業Phytolonが、発酵由来の代替色素の商業化に向けて、シリーズBラウンドで2,360万ドル(約37億8,000万円)の資金調達を成功させました。
赤色3号などを代替する、ビーツ由来の天然色素
米国の「Make America Healthy Again(アメリカを再び健康にする)」運動が主導する人工着色料の撲滅運動が、投資家の注目を集めています。
パン酵母と精密発酵技術を用いて食品業界向けの天然色素を生産するPhytolonは、非公開の戦略的投資家が主導した3段階の調達ラウンドで新たな資金の確保に成功しました。
明かされている範囲では、既存投資家のMillennium Food-Tech、Next Gen Nutrition、Colorcon Ventures、そしてYossi Ackermanが参加しています。
Phytolonはこの資金を人工着色料に代わる製品の商業化に活用し、まずはビーツ由来の赤色着色料から販売を開始する計画。また、ウチワサボテンの実に由来する黄色着色料の開発にも取り組んでいます。
米FDAの安全性認可を取得
Phytolonは、黄色と紫という2つの主要な色素を基盤としており、これらを用いて黄色からオレンジ、ピンク、紫、赤までの幅広い色彩を作り出すことができます。
同社はまず紫に注力し、主にテーブルビート(ビーツ)に含まれる水溶性色素の一種であるベタニンを生成するよう、パン酵母の遺伝子を改変。制御された環境下での発酵によってベタニンを発現させ、その後、発酵液から酵母を除去します。
こうして得られる耐熱性・pH安定性に優れた赤色着色料は、液体と粉末の両方の形態で提供され、赤色3号や赤色40号といった一般的な人工着色料の代替品として機能。
ベーカリー製品、冷凍食品、乳製品、菓子類など、幅広い用途に対応させられ、乳児用粉ミルクや米国農務省(USDA)が管轄する一部のものを除き、ほとんどの食品に使用が認められています。
この認可が降りたのは今年のことで、米国食品医薬品局(FDA)は着色料に関する添加物規制を改正(発効日は未定)して、ビーツ由来の赤色着色料の安全性を確認しました。
同時に、以前は着色料を一切添加していない製品にのみ認められていた「人工着色料不使用」の表示を、石油系色素を使用していない食品全般に認めるよう変更を加えています。
米国で広がる人工着色料回避の動き
2025年初頭、米FDAはラットを用いた研究で発がん性が示唆されたとして、石油由来の着色料である赤色3号の使用禁止を決定。2027年1月に施行予定のこの措置は、米国で36,000種を超える食品に使用されていた赤色40号に注目を集める結果となりました。
赤色40号は今や業界で最も広く利用されている着色料ですが、こちらも石油を原料に2種類のスルホン酸の化学反応によって製造される上、子供の多動症や動物のがんとの関連性も指摘されています。
赤色3号は、欧州、オーストラリア、ニュージーランドでも禁止または厳しく規制されており、EUでは2010年から赤色40号を含む製品にも警告表示を義務付けています。
米国では、包装食品・飲料のおよそ5分の1に人工着色料が使われているとのこと。Innova Market Insightsの調査によると、昨年大手食品企業が発売した新製品の28%に、人工着色料が含まれていました。
ロバート・ケネディ・ジュニア保健長官は食品メーカーに対し人工着色料の使用をやめるよう働きかけを行い、国民の3分の2がこの呼びかけを支持。呼応したネスレ、マース、ケロッグ、ゼネラル・ミルズなどの大手企業が、製品から人工着色料を排除しており、FDAはこうした取り組みを追跡する公開システムまで設けています。
代替色素開発の波に乗るスタートアップはほかにもあり、昨年11月にはデンマークのChromologicsが、米国と欧州での精密発酵赤色色素の発売に向けて700万ユーロ(約13億円)を調達しました。今年1月には、同じくデンマークのOctarine Bioが500万ユーロ(約9億2,900万円)を確保して、年内の製品発売を目指しています。
英・ケンブリッジ大学からスピンアウトしたSparxellは、植物由来の色素の開発資金として420万ユーロ(約7億8,000万円)の資金調達を完了。この色素は、木材パルプから抽出したセルロースの結晶を組み上げることで、構造色を生み出す技術を利用したものです。
参考記事:
Phytolon Closes $23.6 Million Series B to Commercialize its Innovative Natural Food Colors
Phytolon Raises $23.6M to Launch Yeast-Derived Beetroot Red Dye for Food
Phytolon raises $23.6 million Series B to scale natural food color production | Ctech


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