EUが支援する「PROFUSE」プロジェクト、培養肉向けの非遺伝子組み換えウシ細胞株樹立に成功

欧州イノベーション会議(EIC)の支援を受けて実施された2年間の「PROFUSE」プロジェクトが完了し、その結果が欧州委員会(EC)の研究情報サービス「CORDIS」で公表されました。
培養肉生産者向けに、筋細胞の成熟を促進する培地添加剤、そして遺伝子組み換えを施さず生産に適応させたウシ筋細胞株という、2つの成果が得られています。
2次元から3次元の培養に移行
本プロジェクトを主導したのは、イスラエルのスタートアップ企業ProFuse Technology。ワイツマン科学研究所で開発された筋組織の培養技術を商業化するため2021年に設立された企業です。
同社は、一部の同業他社が用いる線維芽細胞や胚性幹細胞(ES細胞)ではなく、筋肉へと分化する前駆細胞である「筋芽細胞」に焦点を当てた取り組みを進めてきました。
筋肉は食肉の部位の中でも、食感や構造、そしてタンパク質含有量の大部分を担う一大要素ですが、培養肉の生産者がこれを大規模に再現するのは困難な課題の一つとなっています。
ProFuse Technologyの培地添加剤「PROFUSE-S1」は、未成熟な筋細胞が成熟した筋線維へとより迅速に発達するよう促す目的で開発されたもの。
同社のチームは本プロジェクトの過程で、その次世代版となる「PROFUSE-S2」を開発し、実験環境を単に2次元の平面上で行う手法から、工場での培養肉生産の様子や皿に盛られたステーキの見た目をより忠実に模倣した3次元の培養システムへと移行させることに成功しました。
実環境での試験でも良好な結果
プロジェクトチームはまた、大規模培養が可能な非遺伝子組み換えの細胞を安定的に供給することを目的とした、ウシ筋細胞株も樹立しました。
ProFuse Technologyは以前、自然に不死化した筋芽細胞株「PROFUSE-B8」を発表しており、これにより動物からの細胞採取を繰り返したり遺伝子の改変を行ったりせずに、継続的な細胞分裂が可能になっています。
本プロジェクトでは、パートナー企業の実際の生産プロセスにこれらの技術を導入する試験も実施されました。同じイスラエルの培養肉メーカーSuperMeatとの共同研究では、細胞の成熟を促進して筋肉の収量を向上させられ、生産コストの削減を達成できたとのこと。
また、オランダの顧客(企業名は非公開)ともウシ細胞株を用いた試験を行い、初期段階における細胞の順応に成功したと報告されています。
ProFuse Technologyは、培養肉の市場規模が2050年までに250億ドル(約3兆9,800億円)に達すると予測していますが、この分野は依然として初期段階にあり、高価な生産コスト、スケールアップの難しさ、法規制の遅い進展といった難題に直面しています。
そんな中、足元では同社も医薬品やサプリメントの開発へやや重心を移しており、とりわけ減量目的での使用が広がっているGLP-1受容体作動薬の服用に伴う、筋肉量の減少という問題への対応を目指しているところ。
その理由について、培養肉だけでは短中期的に見て事業を維持するのに十分な収益を上げられないためと説明し、事業転換に充てるべく150万ドル(約2億3,900万円)の調達を先日行っています。
参考記事:
EU-Backed ProFuse Project Delivers Non-GMO Cattle Cell Line for Cultivated Meat
ProFuse reports cultivated meat cost reduction as €2.43 million EU muscle technology project concludes | PPTI News


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