BMC Ingredientsのマイコプロテインが健康長寿を促進する可能性、研究で明らかに

米国のスタートアップ企業BMC Ingredientsが、同社が提供するマイコプロテイン(菌糸体タンパク質)「Rhiza」に、長寿に関連する化合物が含まれていることを示す論文を発表しました。

牛肉や卵に匹敵する菌糸体タンパク質


糸状菌が持つ根のような構造体である「菌糸体」は、その高い栄養価と持続可能性の高さから、代替肉などの主原料として使われる例が増加してきました。

BMC Ingredientsは、アカパンカビ(Neurospora crassa)という菌株を用いた液体発酵プロセスによって、マイコプロテイン製品「Rhiza」を製造しています。

発酵工程の終了後、湿った状態のバイオマス(菌体)をろ過によって培地から分離し、得られた塊を細かく切断してから、加熱処理で乾燥させます。乾燥・細断されたバイオマスは、その後、ふるいにかけられてから包装されます。

「Rhiza」には、卵よりも多い45〜50%のタンパク質と、オーツ麦よりも多い30%の食物繊維が含まれており、タンパク質の消化率を示すPDCAASは0.87〜0.96と、カゼインや牛肉、卵に近い値。

また、牛肉よりも多くの鉄分と亜鉛を、バナナよりも多くのカリウムを含んでいる一方、コレステロールは含有せず、飽和脂肪酸もほとんどゼロです。

細胞の再生や免疫系の健康に寄与する成分を検出


今回、学術誌『Applied Microbiology』に掲載された研究では、こうした栄養成分に加えて、寿命を延ばす可能性のある化合物が含まれていることが示されました。第三者機関による「Rhiza」乾燥粉末の分析で、100gあたり60.4mgのエルゴチオネインと20.3mgのスペルミジンが検出されたとのことです。

スペルミジンは、細胞の成長や再生、免疫調節、DNAの安定性などに不可欠なポリアミンの一種であり、アンチエイジングサプリメントの成分として近年注目を集めている有機化合物。

ヒトを対象とした研究から、損傷した細胞を取り除き、より健康な細胞へと再生させる「オートファジー(自食作用)」といった細胞維持のプロセスに関与していることが分かっています。

一方、エルゴチオネインは抗酸化作用を持ち、「長寿ビタミン」とも呼ばれる希少なアミノ酸です。フリーラジカルを除去し、ミトコンドリアを保護するほか、脳や免疫系の健康をサポートする働きがあります。

共同創業者でCEOのPaul Shapiroは、「当社の菌糸体は、タンパク質や食物繊維が含まれているという点以外でも注目に値する。食品メーカーがこの素材を使えば、エルゴチオネインやスペルミジンをホールフードの形で日常的な食品に組み込むことが可能だ」と述べています。

一般的な牛肉より低価格の実現を目指す


本研究論文の著者でもあるShapiroは、これらの化合物の存在が確認されたのは「Rhiza」の1つのロットのみであり、今回の結果から、この菌種全体における含有量やバイオアベイラビリティ(生体利用率)、具体的な健康上のメリットが確定したわけではないとしています。

論文では、今後の研究に向けた4段階のアプローチが提示されました。第1段階では、製造時期の異なる複数ロットを対象に、エルゴチオネインおよびスペルミジンの含有量を検査。続いて、保管時や一般的な調理条件下における安定性試験を行います。

次に、in vitro(試験管内)消化モデルを用いて、菌糸体から成分がどの程度放出されるかを推定します。そして最後に、摂取による栄養学的な意義が認められる場合には、ヒトを対象としたバイオアベイラビリティの試験を実施し、血漿中または赤血球中のエルゴチオネイン濃度、および関連するポリアミン指標の測定を行うとしています。

「Rhiza」は、B2B向けに顆粒およびパウダーの2つの形態で販売されており、米国ではすでに認可を受けて複数の製品に使用されています。BMC Ingredientsは世界の主要食肉メーカー5社と契約を締結して収益を生んでいるほか、シンガポールやカナダでも販売認可を取得済みです。

同社は昨年、事業を拡大し、一般的な牛肉よりも低い価格を実現することを目指して、シリーズAラウンドで3,100万ドル(約49億円)を調達しました。

カリフォルニア州に構える工場では9,000リットルのバイオリアクターを稼働させており、数千ポンド規模の菌糸体を生産可能。また、アジアの受託製造業者と提携し、乾燥重量で月産100トン規模の生産体制を構築中で、この施設は2027年第2四半期の稼働開始を予定しています。

参考記事:
BMC Ingredients study finds ergothioneine and spermidine in Rhiza mycelium | PPTI News
Study Shows Longevity-Boosting Potential of BMC Ingredients’s Rhiza Mycoprotein
Rhiza Mycelium Contains Two Compounds Linked to Healthy Aging, BMC Ingredients Paper Finds

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