GALYが細胞培養技術をカカオに応用、米国でチョコレートブランド「WunderHaus」を立ち上げて今冬展開へ

培養コットンの開発で知られる米国のバイオテクノロジー企業GALYが、培養カカオの分野に参入しました。チョコレートブランド「WunderHaus」を立ち上げて12月に米国で展開を始める予定で、来年にはアラブ首長国連邦(UAE)への進出も目指しています。

コットンの培養技術をカカオに応用


ビル・ゲイツやサム・アルトマンも出資するGALYは、バイオリアクター内で植物細胞を培養することで、気候変動の影響を受けやすく、かつ炭素集約的な農産物を再現する技術を開発してきました。

手始めに、環境問題や深刻な人権問題に直面している綿花産業から取り組みを開始しましたが、数年前に、気候危機の影響に苦しむチョコレート企業各社からの打診があったことをきっかけに、このたび同様の課題を抱えるカカオ産業にも着手しています。

取り組みの一環で同社は、プロのシェフに向けた培養チョコレートのブランド「WunderHaus」を立ち上げ。自社のカカオパウダーについては、すでに米国における「GRAS(一般に安全と認められる)」基準を満たしていると独自に評価を行い、その結果を米国食品医薬品局(FDA)に通知しました。この時点で販売は可能ですが、FDAからの「No Questions(異議なし)」レターの取得を目指しています。

同社は12月、マサチューセッツ州ボストンのレストラン「Troquet on South」にて、この原材料を従来のカカオ原料と組み合わせたハイブリッド形式で提供開始する予定。培養チョコレートの商業的な実証の場を作り、外食産業への展開の足掛かりとなる見込みです。

そのほかにも複数のレストランやホテルが、冬季メニューへの採用を見据えて試験的な導入を行っています。

米国以外では、2027年のUAEでの展開に向けて、アブダビ農業・食品安全庁(ADAFSA)に申請書を提出済み。さらに2027〜28年にかけては、欧州連合(EU)における新規食品としての認可取得も検討しているようです。

気候変動により脅かされるカカオ業界


チョコレート業界は気候変動による打撃を受けており、業界最大手のバリーカレボーは、カカオ豆の価格が今後1トンあたり数千ドル上昇すると予測。モンデリーズ・インターナショナルは、原料コストの上昇により利益が25%減少したと報告しました。

2027年2月頃まで気温を極端に上昇させると予測される「スーパーエルニーニョ」現象を控え、チョコレートメーカー各社は代替手段を模索しています。

GALYは、培養原料と従来のカカオを組み合わせるハイブリッドモデルを採用することで、既存の生産者と共存しながら、スケーラブルな供給体制の構築を目指しています。

従来のカカオ栽培を補完し、業界が新たな需要を生み出すための選択肢を増やすべく、アフリカやラテンアメリカのカカオ生産者とのパートナーシップを模索しており、多様な品種や風味特性を持つカカオを幅広くサポートできる可能性に注目しています。

共同創業者でCEOのLuciano Buenoは、「培養カカオの生産プロセスを制御すれば、生産計画の予測可能性が高まり、収穫状況に左右される変動リスクを低減できる。これにより、価格の安定化や、顧客との長期的な契約締結の基盤を整えられる」と説明。

「WunderHaus」ブランドのチョコレートについてはプレミアム製品と位置付け、既存の同セグメント製品と同程度の価格帯に設定しました。

同社の培養コットンに関するライフサイクルアセスメント(LCA)では、従来の栽培方法と比較して、水の使用量を99%、土地の利用面積を97%、CO₂排出量を77%削減可能。カカオに関する分析はまだ未完了ですが、プロセスの約80%が共通していることから、資源使用量を少なくとも80%は減らせると暫定的に試算しています。

参考記事:
GALY Launches US Commercial Cocoa Operations and Advances UAE Expansion
Galy Launches WunderHaus Cell-Cultured Cocoa for B2B Sales | Nosh.com
Exclusive: Galy Expands Cell Culture Tech to Cocoa with US Launch of WunderHaus Chocolate Brand

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