米Plantible FoodsとICL、ウキクサを用いたメチルセルロースに代わるクリーンラベル原料を発表
米国の原料会社Plantible Foodsと、機能性原料の大手メーカーICL Food Specialties(以下、ICL)が、植物由来の食肉・シーフードに用いる画期的なクリーンラベル原料「ROVITARIS」を発表しました。
結着剤として使われるメチルセルロースを代替
ROVITARISは、食品の味や食感を損なうことなく、メチルセルロースなどの化学処理された結着剤を代替するよう設計された、機能性タンパク質。さらに、植物性代替肉製品を「より美味しく、本物に近い仕上がりに」することができるといいます。
この新原料は、Plantible Foodsが「Rubi Protein」として商品化した、水生植物レムナ(ウキクサ)から抽出したタンパク質RuBisCO(ルビスコ)を含んでいます。
また、9種類の必須アミノ酸をすべて含み、乳化や結合といった動物性タンパク質の機能を模倣することが可能。色・臭い・風味がニュートラルなことも特徴です。
両社は、Rubi Proteinを用いた新しい植物由来成分を開発するため、複数年にわたる商業契約を締結していました。ROVITARISはその最初の製品として、2024年に米国で市販される予定です。
持続可能で栄養価の高いGRAS成分
ウキクサは、世界で最も持続可能で栄養豊富な植物の一つと考えられています。土地も農薬も使うことなく、質量は48~72時間ごとに倍増し、得られるタンパク質1kgあたりに必要な水は大豆の10分の1。
Plantible Foodsの共同創業者Tony Martensは、「持続可能な方法で栽培されたウキクサに由来するこの高機能で栄養価の高いタンパク質は、事実上あらゆる食品用途の味・食感・栄養を向上させ得る。ICLのチームと協力して、新たな植物性食品のイノベーションを主導したい」と語りました。
同社は、米国内にウキクサの養殖場と140エーカー(約57万平方メートル)の大規模生産施設を保有。米国ではウキクサタンパク質はGRAS(一般に安全と認められている食品成分)とされており、同社は前述の「Rubi Protein」に加え、「Rubi Whisk」という植物性代替卵を製パンやパスタなどの用途向けに導入しています。
2021年には、独自のタンパク質抽出プラットフォームのさらなる進化と商品化に向けて、2,150万ドル(約32億1,000万円)を調達。現在までに、韓国のCJ CheilJedangとケロッグのベンチャー部門eighteen94 capitalからも投資を受け、累計3,000万ドル(約44億8,000万円)以上を調達していると報じられています。
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