オランダのMeatableが新たなパイロットプラントを開設、世界各国で工場建設ラッシュ
オランダの培養肉メーカーMeatableが、同国のLeiden Bio Science Park内に、3,300平方メートルの新たなパイロットプラント開設を発表しました。
これにより、バイオリアクターの容量を50リットルから200リットル、将来的には500リットルまで拡大でき、培養肉製品の試験的大量生産が可能になる見込みです。
オランダでは規制認可の進展に期待
2018年の創業当時は、ライデンにあるそれぞれ25平方メートルのオフィスとラボスペースからスタートしたMeatable。翌年にはデルフトに移転し、従業員数は90人を超えるまでに成長しました。
同社はデルフトを拠点に、培養ポーク製品の発表や、1つの動物細胞をわずか8日間で豚肉に成長させる画期的な技術を開発するなど、多くのマイルストーンに到達。
オランダでは今年7月、EU加盟国として初めて培養肉の試食イベント開催が「ほぼ」許可されました。内閣からの承認を得て、近く初の試食イベントが開かれる見込みであり、来年にはさらなる規制認可の進展が予想されます。
Meatableは今年8月、シリーズBラウンドで3,500万ドル(約52億3,000万円)を調達し、生産のスケールアップによりコスト競争力を高めるとしていました。また、9月に2度目となる試食会を開催した際には、まずは2024年半ばにシンガポールでの発売を目指すと語っています。
シンガポールでは、委託製造業者のEsco Aster(同国で唯一、培養肉製造の認可を取得)との提携に加えて、ハイブリッド肉製品の生産に向け植物性代替肉を手掛けるLove Handleと提携しています。
五大陸で培養肉工場の建設が加速
今年に入って、世界の各地域で培養肉工場の建設が加速しています。米国のOmeatは、年間最大400トンの製品を生産できる、15,000平方フィート(約1,400平方メートル)のパイロットプラント建設を完了。
今年培養肉の販売認可を取得したGOOD MeatとUPSIDE Foodsも、大規模生産が可能な設備への投資を実施しています。
前者は25万リットルのバイオリアクターを10基設置する施設の契約を締結し、3,000万ポンド(約13,600トン)の生産能力を確保。また、シンガポールでアジア最大規模となる工場を着工し、当初は2023年初めの開設を予定していました(現在の進捗状況は不明)。
後者はシカゴ近郊に10万リットルのバイオリアクターを備えた工場を建設中で、こちらも将来的には3,000万ポンドの生産能力まで拡張する予定です。
中国・上海を拠点とするCellXも、一般向けに培養肉の試食提供も行うパイロットプラントを竣工し、2,000リットルのバイオリアクターを複数設置予定。
南アフリカでは、アフリカ初の培養肉企業Newform Foodsが、同国のエンジニアリング大手Project Assignmentsとの提携によりデモ生産施設を設置すると発表しました。
オーストラリアのMagic Valleyは、インキュベーターのCo-Labsがメルボルンに保有する共同生産施設に進出。昨年培養ラム肉、今年5月に培養ポークを発表したのに続き、3,000リットルのバイオリアクターを用いた年間150トンの生産能力にまで拡大させる見込みです。
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