英ユニリーバ、Perfect Dayの精密発酵ホエイを使用したアイスクリームを発売へ
消費財大手の英ユニリーバが、米国企業Perfect Dayとの提携により、精密発酵乳清(ホエイ)タンパク質を用いたアイスクリームの発売を発表しました。
「Breyers」ブランドで販売されている乳糖フリーのアイスクリームに配合され、米国の消費者向けに展開されます。
気候変動に関する目標達成に向けた一歩
ユニリーバにとって初となる精密発酵を活用した製品は、今月米国全土での発売が予定されており、48オンス(約1,360g)で販売価格は4~8ドル(約600〜1,200円)。
北米のマーケティングを担当するLisa Vortsmanは、「代替アイスクリームの需要が伸び続けているのを見ると、Breyersが150年以上にわたって提供してきたクリーミーな味を損なうことなく、顧客ニーズや嗜好を満たしていくことが重要と感じた」とコメントしています。
同社は2039年までに排出量ネットゼロ(Scope 1、2、3を含む)を実現するというサステナビリティ目標を掲げていますが、これにはサプライヤーとの協力が不可欠と説明。
会社全体のフットプリントに寄与している原材料を見ると、特にアイスクリームに使われる乳製品が重要な割合を占めていたといい、今回の提携は目標達成に向けた重要な一歩となる見込みです。
すでに同社ブランドのアイスクリームの約10%がヴィーガン対応品となっていますが、2022年から植物性食品の販売数を倍増させる計画で、2025年までに年間売上高15億ユーロ(約2,450億円)を目標に設定しています。
精密発酵製品の市場での成功に期待
Perfect Dayは、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)という真菌に遺伝子組み換えを施して、乳タンパク質を効率的に生産。これを活用することで、従来の乳製品ベースのアイスクリームと同じ機能性を持った製品を消費者に提供できるようになります。
すでに米国、シンガポール、香港、インドで販売認可を取得しており、米国内では消費者向け製品を扱う子会社のThe Urgent Company* を通じて、「Coolhaus」や「Brave Robot」ブランドで精密発酵アイスクリームを展開してきました。
大手企業でも精密発酵への注目度は高く、ネスレ、スターバックス、ゼネラル・ミルズ、マースなどの企業が、Perfect Dayの精密発酵乳タンパク質「ProFerm」を用いた製品を発表。
しかし、これまでの動きは市場テストを兼ねた限定発売が多く、いずれの製品も市場で成功を収めるまでには至っていません。すでに米国で広く親しまれてきたBreyersの新製品が、消費者にどのように受け止められるか注目です。
* Perfect Dayは昨年B2C事業からの撤退を表明。The Urgent Companyは、同じ米国のフードテック企業Superlatusに125万ドル(約1億8,800万円)で売却することで合意されていましたが、その後最終的な売却発表は確認されていません。
参考記事:
Unilever to Launch Breyers Ice Cream with Perfect Day’s Precision-Fermented Whey
Unilever enters ‘animal-free dairy’ arena via Breyers brand in tie up with Perfect Day
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