フィンランドのOnego Bioが、Fast Companyの「2023 World Changing Ideas Awards」を受賞

Onego Bioが開発した、精密発酵によるアニマルフリーの卵白プロテイン「Bioalbumen」が、Fast Companyの「2023 World Changing Ideas Awards」を受賞。食品カテゴリーでの受賞に加え、農業カテゴリーでも最終選考に残りました。

米国の月刊誌Fast Companyが毎年主催している同賞は、現代の差し迫った課題に対して創造的なソリューションを開発している企業や団体を表彰するものです。カテゴリーが多岐に渡る2,200以上の応募の中から、Fast Companyの編集者と記者団により選出されます。

最後のフロンティアを開拓


Onego Bioの共同創業者であり現CEOのMaija Itkonenは、「オボアルブミン(卵白を構成する主要なタンパク質)は自然の驚異の一つといえ、卵白はアニマルフリー製品がまだ追いついていない、最後のフロンティアとなっている。このような重要な成分を上市できたことで、卵の市場にとどまらず、フードシステムの多くの課題を解決できればと願う」と語りました。

革新的な生産技術のベースとなるのは、高生産性の糸状菌トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)。微生物に水、砂糖、特定のミネラルを与えて目的物質を生産させる「精密発酵」と呼ばれる方法で、微生物に糖分を与えてアルコールを生み出すビール醸造にも例えられます。

Onego Bioの生産技術は、大型の工業用バイオリアクターにスケールアップできる点が特徴。バイオマスを包装資材やアニマルフリーの代替レザーに再利用できるため無駄がなく、望みのタンパク質を高効率で生産可能です。

Bioalbumenは、環境や倫理的な側面、安全性、サプライチェーン上の懸念なしに、卵白の栄養や機能性をすべて実現しました。また、ほかの原料では代替が難しい起泡性、ゲル化性、結合性、発酵性といった特性も、すべて維持することができています。

卵市場では価格高騰が続く


飼料の高騰や鳥インフルエンザの発生により卵の価格が世界的に高騰し、今後も高値が続くと予測される中、卵の生産そのものは効率性が低く、持続可能でも倫理的でもないのが現状。世界中でニーズの高い卵の供給を続けていくためには、より持続可能なソリューションが必要です。

Bioalbumenの生産に関するライフサイクルアセスメントでは、従来の卵白パウダーの生産と比較して、環境負荷(土地や水の利用、温室効果ガス排出など)を最大90%削減し、10倍の収量を得ながら、価格も同等に抑えられる可能性を持っていることが分かりました。

「Bioalbumenは、これまでの代替品とは違う本物。精密発酵は、アニマルフリー製品の歴史に登場したばかりの新しいカテゴリーだが、持続可能な上に美味しく、健康的な食品を人々に提供することができる」とItkonenは語っています。

参考:https://www.onego.bio/press/our-news/world-changing-ideas-award

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