仏ダノン、DMCやミシュランとの提携でフランスに精密発酵プラットフォームの構築へ
フランスの乳業大手ダノン、ミシュラン、米国のスタートアップ企業DMC Biotechnologies、Crédit Agricole Centre Franceが、精密発酵に焦点を当てた「Biotech Open Platform」を設立するため提携に至ったと発表しました。
ラボスケールからの規模拡大をサポート
この新たなプラットフォームは、フランス中南部のオーヴェルニュ地域圏にある、ミシュランが支援するアクセラレーター施設「Parc Cataroux Center for Sustainable Materials」内に立地。
動物や化石由来の製品を置き換える持続可能な代替品へのニーズに対応する可能性を秘めた、極めて重要な技術である精密発酵に焦点を当てるとされています。
精密発酵は食品原料や素材の生産に適しているとされ、基礎研究はかなりの進歩を遂げているものの、規模の拡大が課題となっているのが現状。プラットフォームが提供する生産設備で、この課題解決を支援する狙いです。
ダノンのCEOを務めるAntoine de Saint-Affriqueは、「食の未来への投資を常に重視しており、次なるステップとして今回の提携に至った。パートナー企業と共に、食品業界におけるイノベーション、健康、脱炭素化を加速させる最先端の発酵技術を開発することを楽しみにしている」とコメント。
同社はこれまでにも、アニマルフリーの乳清タンパク質を開発する精密発酵企業Imagindairyや、培養乳脂肪を開発するWilk Technologiesに投資を行っています。
2025年までに第1フェーズの完了を予定
「Biotech Open Platform」は、クレルモン・オーヴェルニュ大学、欧州地域開発基金(ERDF)傘下のオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏、Clermont Auvergne Métropoleなど、複数の官民機関からも支援を受けています。
パートナーシップの第1フェーズとして、1,600万ユーロ(約27億円)超が割り当てられ、発酵タンクや精製装置を含むデモ生産ラインが2025年までに完成する予定。
その後、続けて追加の設備と第2の生産ライン導入により創設メンバーのスケールアップニーズを満たし、同様の課題に直面しているほかの企業にも順次開放される計画です。
新たなバイオプラットフォームの創設メンバーは、イノベーション、スタートアップ企業の誘致、地域開発、バイオものづくりの課題に対処する協力関係の構築における、プラットフォームの意義を強調。
DMC BiotechnologiesのCEOを務めるKenny Erdoesは、「当社の革新的な発酵技術を活用した新製品のスケールアップと商品化を加速させることができるだろう」と述べました。
2014年創業の同社は、米国を拠点に精密発酵を利用した化学品の開発・製造を行う企業。独自の基盤技術「Dynamic Metabolic Control」を強みにアミノ酸の一種であるL-アラニンを主力製品とし、日本企業の東洋紡からも出資を受けています。
参考記事:
“Biotech Open Platform” Project Created to Support Development of Advanced Fermentation Processes
この記事へのコメントはありません。