培養肉のパイオニアが創業したQorium、35cm四方の培養レザーサンプルを発表

培養肉のパイオニアであるMark Postが設立したオランダのバイオテクノロジー企業Qoriumが、培養レザーの生産拡大と商用化を進める上での重要なマイルストーンを達成したと発表しました。

水やエネルギー、廃棄物を削減するサステナブルレザー


Qoriumの生産プラットフォームは、独自開発した培養細胞と組織工学プロセスを組み合わせることで、動物性皮革と同じ強度や耐久性、外観を持ちながら、環境影響の少ない製品を生み出すものです。

同社は、新たにスケールアップしたバイオリアクターを用いて、35cm四方の培養レザーのサンプル生産に成功(🔗参考動画)。

CEOのMichael Newtonは、「従来の素材が持つ動物福祉や環境上のデメリットなしに、高品質で高性能なレザーをオンデマンドで生産できる未来がすぐそこまで来ていることを実証できた」と語りました。

実際の消費者の協力によるテストでも、同社の培養レザーと天然皮革との違いは誰も気が付かないほどであったとのこと。

厚み、サイズ、強度、柔軟性などの特性を自在に調節できることに加えて、水とエネルギーの利用を大幅に削減することが可能です。さらに、天然皮革では使用不可能な部分が廃棄されますが、培養レザーでは廃棄を75%削減できます。

大規模生産による低コストの実現へ


Qoriumは、2013年に世界初の培養ハンバーグを発表したMark Postにより、2021年に設立された企業。Brightlands Venture PartnersやSofinnova Partnersから資金を調達し、ナイキで副社長を務めていたMichael Newtonを昨年CEOに招聘しました。

マーストリヒト大学に研究所を構え、高級ファッションブランドや自動車ブランドと共同開発の取り組みを進めています。

Postは、比較的少人数のチームで、短期間にスケーラブルな生産工程を実証できたことに自信を示し、「科学の観点からはまだやるべきことが多くあるが、主要な課題は克服された」とコメント。次なる課題として、継続的な製品の最適化コスト削減、そして生産プロセスを設計するプロセスエンジニアリングを挙げました。

資金調達や既存の製造能力の活用、他企業とのパートナーシップ構築などにより大規模生産を達成し、需要に合った低コストの実現という課題に対処する計画です。

参考記事:
Bio-Engineering Scale-Up Qorium Showcases Cultivated Leather Breakthrough, Signalling a Key Step Towards Commercialisation | Financial Post
Mark Post-Founded Qorium Unveils 35x35cm Cultivated Leather Sample as “Tangible Proof” of a Promising Future

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