VowとORF Geneticsが欧州で培養肉の試食イベントを開催、アイスランド首相が培養ウズラを試食
オーストラリアの培養肉企業Vowとアイスランド企業で分子農業を手掛けるORF Geneticsが今週、欧州では初という公式の培養肉試食イベントを開催。Vowの開発する培養ウズラを使った料理が提供されました。
培養肉の採用に前向きなアイスランド
両社のプレスリリースによると、試食イベントの参加者の中には、現アイスランド首相のKatrín Jakobsdóttirもいたとのこと。
初めて培養肉を試食したというJakobsdóttirは、「培養肉は気候変動問題に対する解決策の一つとなる。アイスランド当局は、この解決策の採用に向け道を切り開く決意を固めており、またEUにおける培養肉規制の枠組みが構築されることを切望している」とコメントしました。
アイスランドはEU加盟国ではないため、EUに先立って個別に培養肉の販売が解禁される可能性もあります。またその逆に、EUの「新規食品(Novel Food)」規制で先に培養肉が販売認可を受けた場合、アイスランド(ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインも同様)でも自動的に販売が認められることとなります。
今回の試食イベント開催を主導したとみられるORF Geneticsは、オオムギを用いて特定のタンパク質を大規模に増殖させる分子農業プラットフォームを開発した企業。培養肉用に特化したアニマルフリーの成長因子「MESOkine」の生産を行っています。
Vowのほか、イスラエルのAleph Farms、オランダのMosa Meat、韓国のSeaWithとも提携を進め、培養肉生産を加速させています。
Vowはオセアニア、シンガポールで近く認可取得見込み
オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)は昨年末、Vowの培養ウズラについて、食べても安全であるとの見解を発表。今月初めに一般からの意見募集を終えて認可プロセスは最終段階に入っており、Vowはオセアニア初となる新規食品の認可取得に近づいています。
Vowの製品は希少なニホンウズラ(Coturnix japonica)の細胞に由来し、動物由来の添加物や抗生物質を使用せずに培養したもの。
最初の培養ウズラ製品として「Forged Parfait」を予定しており、シンガポール食品庁(SFA)からも近く認可取得を見込んでいます。
同社は2022年に行われたシリーズAラウンドで、4,920万ドル(約73億9,000万円)を調達。過去最大の培養肉の試食イベントとなった「SXSW2023」をはじめ、オーストラリア国内の複数のイベントで試食提供を実施してきました。
シドニーに年間30トンの生産が可能な南半球で最大規模の工場を所有しており、その100倍の生産能力となる新工場も建設中。こちらは今年開設の予定で、複数の市場に向けた輸出用の生産を検討しています。
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