フランスのピザハットがLa Vie Foodsの植物性ハムを導入、価格は据え置きで全メニューにオプション追加
フランスのピザハットが、従来のハムをフランスのフードテック企業La Vie Foodsの植物性ハムに置き換えたオプションを、全メニューに導入すると発表しました。
ピザ業界でも植物性シフトを起こす
英国ではBeyond Meatの代替肉とViolifeのヴィーガンチーズを使用、ドイツやオーストラリアでも植物性食品を取り入れ、国際的にヴィーガンの裾野を広げているピザハット。
フランスの店舗ではこのたび、今年いっぱい全メニューで植物性ハムを使用したオプションを準備することを発表。これらの植物性メニューを、何と追加料金なしで提供するとしています。
La Vie Foodsの主力商品であるベーコンは、2022年5月からバーガーキングのメニューに常備され、ハムはヴィーガンベーカリーLand&Monkeysで採用されているもの。
外食産業とのパートナーシップを数多く成功させてきましたが、ピザチェーンとの提携は今回が初。フランスではピザ人気が高く、一人あたりの消費量は世界でもトップクラスで、米国と並ぶ世界最大のピザ消費国という2015年のデータもあります。
同社CMO(最高マーケティング責任者)を務めるRomain Jolivetは、フランスの若者に肉を食べない人が増加しており、一定の需要が見込めると主張。しかし、「若者世代の食生活の柱ともいえるファストフードではすでにシフトが起こっており、現にバーガーキングの植物性メニューは売上の20%を占めるようになっている一方、ピザの分野ではそうではない」といいます。
国内で126店舗を展開するピザハットへの導入により、ヴィーガンやベジタリアン、フレキシタリアン、ノンヴィーガンまで、これまで以上にさまざまな食生活を送る消費者にアプローチできるようになるでしょう。
見分けがつかないほどの美味しさを実現
2023年上半期に、前年同期比379%という驚異的な成長を見せたLa Vie Foodsは、9月にヴィーガンハムを発売。目を引くのはその原材料リストで、エンドウ豆タンパク質(全成分の90%を占める)、大豆タンパク質、天然香料、濃縮ラディッシュジュース、食塩、pH調整剤(酢酸カリウム)、乳酸のわずか7つで構成されています。
1食分のタンパク質は19.5g、飽和脂肪酸はわずか0.7gと栄養価に優れていることに加え、動物肉に劣らない美味しさも魅力。
同社の植物性ベーコンは、従来のものとあまりに似すぎていると、豚肉ロビーから不当競争で訴えを起こされたほどで、植物性食品を購入するフランス人消費者の52%が重視しているという「味」の面でも十分に訴求できています。
食肉生産の伝統を持つフランスではこのロビー団体が強い影響力を持っているとみられ、今年2月には植物性代替肉の表示に使用できる用語を制限する趣旨の政令が発出されました。
小売り大手のカルフール主導で立ち上げられ、植物性チキンのメーカーUmiamiなどからなる企業連合はこれに対し、先月下旬に停止要請(急速審理=référé)を提出しており、現在、国務院(Conseil d’État)の判断待ち*。La Vie Foodsもこの連合の一員として活動に参加しています。
* 2024.04.11追記:今月10日、国務院により同政令が一時停止されたとの報道がありました。
参考記事:‘It’s Not A Joke’: Pizza Hut France Adds La Vie Plant-Based Ham on All Menu Items for the Same Price
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