スイスのPlanted、外食市場に続き植物性発酵ステーキの小売り販売を開始

スイスのフードテック企業Plantedが、スイスとドイツの小売店で、植物性原料を発酵させたステーキ肉「planted.steak」の販売開始を発表しました。

一切の添加物を含まないクリーンラベル製品


この「planted.steak」は、大豆タンパク質、菜種油、豆粉、米粉に、微生物を培養したオリジナルの混合物を合わせた、天然素材のみで作られています。

Plantedを2019年に共同創業し、現CEOを務めるPascal Bieriによると、発酵タンクで30〜40時間かけて育てているとのこと。

100gあたり17gのタンパク質、5.8gの食物繊維のほか、ビタミンB12や鉄分などの重要な微量栄養素も含んでいる一方、飽和脂肪酸の含有量は少なく抑えた健康的な製品です。

50人以上のレストラン経営者と協力して開発したというこの製品について、もう一人の共同創業者Lukas Böniは、「添加物を一切使用せず天然素材のみから作られているにもかかわらず、これほどジューシーで柔らかい植物性ステーキはほかにない」と語っています。

また、planted.steakの製造に起因するCO₂排出量は、従来の牛ステーキと比較して97%少ないなど、環境面でのメリットも。従来の食肉生産、とりわけ牛肉生産がもたらす環境問題に対する、スケーラブルで持続可能な解決策を提供します。

ブランド全体でタッチポイントを拡大


Plantedはこれまで、高水分押出成形により植物性の鶏肉、豚肉、鴨肉製品の製造を行ってきましたが、planted.steakの製造にあたって「独自の固体発酵プロセス」を導入。上流・下流工程の設備や発酵タンクも自社で組み上げ、新技術に関する特許申請を行っています。

スイス連邦工科大学(ETH)からのスピンオフ企業として2019年に設立された同社は、L CattertonやTengelmann Venturesなどから累計1億1,500万スイス・フラン(約200億円)を調達。社会や環境に良い影響を与えていると評価された企業に贈られる、B Corp認証も取得しています。

planted.steakは、まず今年3月にスイス、ドイツ、オーストリアの25のレストランでデビューを果たし、好評を博しました。

小売りにも進出した現在は、スイス全土のコープとPlantedのウェブサイトで、140g入り7.95スイス・フラン(約1,400円)で販売されているほか、ドイツ全土に展開するスーパーのREWEでも発売され、ドイツのほかの小売店でも近々発売が予定されています。

小売店のバイヤーは商品の選択に慎重


近年の植物性食品カテゴリーの状況について、CEOのBieriは「米国や英国などで、大手企業などが製品の品質をあまり気にかけずに参入してきたため、リピート購入率が低くなっている」ことを指摘。

小売店のバイヤーは、棚に並べる商品の選択に際してより慎重になっているといい、「バイヤーは何でも飛びつくというわけではなく、ブランドをどのようにサポートしていくかを考え、カテゴリー全体の成長についてメーカー側と深く話し合うことを望んでいる」と語っています。

そのような状況下でも、Plantedはここ数年売り上げを伸ばしており、すでに欧州で6,100のレストラン、8,700を超える小売店舗に進出。ドイツで最大の鉄道会社、ドイツ鉄道(Deutsche Bahn)のメニューにも3種類の商品がラインアップされるなど、存在感を発揮しています。

参考記事:
Planted’s Fermented Steak Arrives in Swiss & German Retail
Planted launches its innovative fermented steak onto the retail shelves Coop and REWE | PPTI
Swiss startup Planted rolls out ‘first of its kind’ fermented plant-based steak

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