米Tender FoodがシリーズAラウンドで約17.6億円を調達、ファストフード店への代替肉供給契約も締結

米国・マサチューセッツ州を拠点とする植物性代替肉メーカーTender Foodが、シリーズAラウンドで1,100万ドル(約17億6,000万円)の調達を実施。

同時に、地元のベジタリアン向けファストフードチェーンClover Food Labとの契約締結を発表しました。

押出成形に取って代わる「紡糸」技術


今回のラウンドはRhapsody Venture Partnersがリードインベスターを務め、Lowercarbon CapitalとSafar Partnersが復帰。Claridge PartnersとNor’easter Venturesが新たに参加しています。

2022年に行った1,200万ドル(約19億2,000万円)のシードラウンドに続き、資金調達総額は2,300万ドル(約36億7,000万円)に達しました。

Tender Food(旧称:Boston Meats)は2020年にハーバード大学からスピンオフ。同大学からライセンス供与を受けている紡糸技術が強みです。

この手法では、綿菓子の製造と同じように、植物性タンパク質の繊維を紡いで構造化された肉を成形。筋繊維が束になった複雑な動物肉の構造を模倣し、再現できるものは、牛ステーキ、プルドポーク、鶏胸肉、カニまで多岐にわたります。

共同創業者でCEOを務めるChristophe Chantreは、「消費者は市場に出回っている植物性代替肉製品に失望している。高すぎるし、味も今ひとつで、ほとんどがハンバーガーやソーセージに限られていて、原材料リストも長くて不明瞭なためだ」と指摘。

同社の特許技術は、植物性代替肉の加工に一般的に使われる押出成形に取って代わることを目指しています。Chantreによると、同社は生産規模を拡大し始めたところながら、すでに低い生産コストを実現できているとのこと。「この産業が成長するためには、価格面で動物性の食肉と競合する製品を提供することが重要」と述べています。

地元チェーン店との新たな契約を締結


ボストン周辺のレストランや大学でヴィーガンミート&シーフード製品を展開しているTender Foodですが、先月、Clover Food Labとの新たな提携を実施しました。

Clover Food Labは、ボストン周辺に構える13店舗すべてにTender Foodの代替肉を導入し、フライドチキンとポークを提供する予定。同社はベジタリアン向けのメニューを提供するファストフードチェーンながら、顧客の90%が肉食で、製品に対しても好意的なフィードバックを受けているといいます。

食料システムの脱炭素化を目指すTender Foodは、培養肉と植物由来原料を組み合わせた「ハイブリッド肉」の研究開発も実施。

米国科学財団(NSF)から約100万ドル(約1億6,000万円)の助成金を得て、タフツ大学細胞農業センター(TUCCA)に所属するDavid Kaplanの研究室と共同で、培養細胞による植物性代替肉の風味、香り、栄養価の向上、そしてハイブリッド肉製品の商業化の可能性を探っています。

同社はまた、元Oatlyの北米部門でトップを務めたMike Messersmithを取締役に任命しました。2017年にオーツミルク大手の米国事業立ち上げを監督し、ブランドを一から築き上げた業界経験を活かして、商品化計画を加速させる狙いです。

参考記事:
Tender Food Closes $11M Series A Round, Inks Fast-Food Deal for Fibre-Spun Vegan Meat
Plant-based ‘meat’ startup Tender has already nabbed a fast-food chain contract, and another $11M | TechCrunch

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