米・マサチューセッツ州が代替プロテインへの関与を強化、新法で業界への投資を約束

米国・マサチューセッツ州で新たな法案が上下両院を通過。食品科学を、同州にとって気候変動と健康に関わる優先事項と位置付け、代替プロテイン業界への投資を約束しました。

代替プロテインに対する姿勢は二極化が進む


代替プロテインを巡る議論は、米国ではますます二極化しており、党派間の分断を生むような政策立案がなされています。

フロリダ州では、今月初めより州内での培養肉の生産・販売が全面禁止に。10月からはアラバマ州でも同様の禁止法が施行されることとなりました。

そのほか、アリゾナ州、テキサス州、ネブラスカ州などでも培養肉の禁止が検討されており、連邦政府による資金援助を制限しようとする動きさえあります。

一方、カリフォルニア州イリノイ州などは代替プロテインの支援に積極的。前者には培養肉の販売許可を得た2社が拠点を置いており、後者は精密発酵の研究に対して6億8,000万ドル(約1,050億円)を投じる計画を発表しました。

マサチューセッツ新法案の内容


細胞農業センター(TUCCA)を擁するタフツ大学のあるマサチューセッツ州も、こうした推進派の一つ。先日可決された新たな経済開発法案(S.2856)は、気候変動対策技術と代替プロテインを支持する内容となっています。

同法案では総額28億ドル(約4,310億円)の資金提供が約束されましたが、その中で代替プロテインが投資対象として言及されているのは、次の3つ。

まず、開発支援として州内の企業に500万ドル(約7億6,900万円)の助成金が支給されます。地元企業は、同州に拠点を置くベンチャーキャピタルMassVenturesの「START」プログラムを通じて申請が可能。

2つ目は、公的機関のMassachusetts Technology Collaborative(MassTech)に同じく500万ドルを割り当てるもの。この資金は、州内の民間企業、高等教育機関、NPOなどによる代替プロテインへの取り組みを支援する補助金に充当されます。

3つ目は、MassTechによるコンペティションに1億1,500万ドル(約177億円)を投入する計画。こちらは、主要な新興ハイテク分野における同州のリーダーシップ向上と雇用拡大を図るためのインフラ支援を主としたもので、代替プロテインの開発も対象に含まれてはいますが、基本的には他分野が中心になりそうです。

フードテック界のリーダー的存在に


マサチューセッツ州政府は、今回の支援パッケージで全米の企業を州内に誘致する狙いがあり、フードテックにおいて米国内、ひいては世界のリーダーになることを目指しています。

経済開発・新興技術合同委員会(Joint Committee on Economic Development and Emerging Technologies)の委員長を務めるBarry Finegold上院議員は、「経済、環境、そして私たちの健康にも良い食品科学は、今後重要性がより増していくだろう」とコメント。

他州での禁止措置などを受け、「我々議員には長期的な視点で物事を考える義務がある。気候変動や人々の健康を懸念するのであれば、科学に対して真剣に取り組まなければならない。マサチューセッツ州ではそれを実践している」と語っています。

同法案は細かな点の最終調整に入っており、今月末までに確定される予定です。

参考記事:
Senate passes economic development bill – Massachusetts Municipal Association (MMA)
While Other States Ban Cultivated Meat, Massachusetts is Investing in Alternative Proteins
Alternative protein industry to get potential $10 million boost from Massachusetts

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。